空想世界の逃走劇 | ナノ



三人揃って一緒に朝食をとったのは何年ぶりだろう…。

私が生まれたその日は祝日だったそうだ。
父、ジョルノは私を抱き上げて額にキスを1つ落とし、愛しく強く抱いたそうだ…
母、徐倫は笑顔で私の名前を呼び…嬉しそうに泣いたそうだ…

他の親族で…私を抱き締めてくれた人が居た…えっと…
祖父の…ああ、名前は確か………
どうしよう。思い出せないや

その人の名前が出てこなくて少し心にチクリと刺さって
もやもやした。

「お爺ちゃん」
そう呼んだ記憶はあまりない。
それと、遊んだり、接した記憶もない。顔も思い出せないや…

「ジョルジオ、父さん……承太郎おじいちゃんのこと、覚えている?」

ジョウタロウ…?その人がおじいちゃん…?やっぱり思い出せないや。
私は母の返事にううん。と小さく首を横に振った。

「やっぱりね…覚えてないわよね。ジョルジオまだ小さかったものね」

「…今日、来るんですよね。承太郎さん」

「ええ…そろそろかなぁ…今頃空港かな。何せ連絡きたの今日の朝だから。ダディらしいわ」

ママがクスクスと笑うと、そうですね。と父も小さく笑い、紅茶を一口すすった。私は祖父の顔を想像しながら二人の会話を聞いていた。何やら凄い人らしいけど…やっぱりまだ思い出せない

残りのパンケーキをちまちまと食べた。

父ジョルノからほんのり香る果実の香水が私の鼻を擽る。
私も同じものがお揃いのが欲しいな、私はパンケーキを口に含み、心からそう思った…
  

しばらくすると
規則正しいベルの音が…電話が沈黙の空間に鳴り響いた。

するとママが慌てて電話に出た。
嬉しそうに

「…ダディ!」

ママの顔はまるで10代のように若返り、電話に出るときやなの声は生き生きとしていた。

「もうすぐ着くって…!ダディ、待ってジョルノに代わる」

そう言ってママはにこにこと父に電話を渡した。
父も楽しそうに電話を代わり、電話の向こう側の人と話していた。
どうやら電話の相手はおじいちゃん…承太郎おじいちゃんのようだ。

声が少し聞こえたが、まだ若い感じがする。



「ええ、是非ともいらしていください。ジョルジオも待っていますから。お待ちしてます…ええ、では…」


…どうやら承太郎おじいちゃんが家に来るらしい。



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