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「…」
部屋の扉をゆっくり開けて
白い色の階段を一歩一歩重い足取りで降りてキッチンへと向かった…段差を一段一段降りていく度に私の気持ちは重くなり、暗くなる。
最後の一段を踏み終えて私の両親の待つキッチンをそろりそろりと見る。
するとそこには白い椅子に座る父親…ジョルノが居た。
そして綺麗に三人分のお皿、色とりどりのフルーツ、香ばしい香りの珈琲に紅茶、そしてママが作ってくれたパンケーキが並んでいた。
「おは…」
ああ、やっぱりだ。
次の言葉が出てこない。
父親の表情を見るたびに私は言葉を失う。
どうしてだろう
私の全身の力が抜けてしまう。
「おはようございます…ジョルジオ」
父はいつも敬語だ。
ママにたいしても敬語…
それが何処かもどかしくて好きではない。
「さ、掛けてジョルジオ…これで朝から親子三人揃うんだから」
ママは嬉しそうに私の方へ椅子を出して座るように急かした。
「…うん」
あどけない返事をして私は父、ジョルノと対面する形でテーブルの真ん中に座った。
父は私を見詰めて微笑んだ。滅多に見ないからか、私は緊張で下を向いてしまった。
「さ、頂きます」
ジョルノの掛け声でママも大きく頂きますと手を合わせた。私は聞こえないように小さくいただきます、と囁いた。
ありがとう。
そうやって言いたい。だけど…だけど言葉が出てこない。
私はまた一人で悲嘆に暮れ、下を向きながら食事を取った。