目裏異苦里州魔巣(解読不能)
「めりー〜〜〜〜〜………くりすまぁあああーす!」
パパン!パン!
赤と緑のX'mas仕様のクラッカーが鳴り、茶色いフローリングの床にクラッカーの残骸がハラハラと静かに落ちた。
「……煩いなぁ…ナマエ…」
「良いところなんだから邪魔をするななのだ」
「美味いワインが不味くなる」
「静かにできないのか」
「…くそ…!このラスボス手強い!俺の側にに近寄るな!!」
「ボス…!頑張ってください」
「DIO、このワインは少し甘すぎる」
「ケーキはまだか」
私がクラッカーを鳴らした後、辺りはシーンと静かになり、皆から聞こえたのは批判の声と無視の嵐…
人がX'masくらい賑やかにしてやろうとすれば…この荒木荘のメンバーは…………!
わなわなと拳を握り、イライラを押さえた。
「…ナマエ、ケーキが焼けたが、食べるか?」
キッチンの方からチーン!とレンジのタイマーが鳴って、ケーキが焼き上がった。
「待ってました!吉良さんのケーキ!」
「一人一切れだぞ」
「吉良さんの鬼畜…って…あー!!カーズが二切れ食べたっ!!」
「美味い」
もぐもぐもぐ、となんとも漫画チックな効果音を立てながらカーズは私の分のケーキを食べてしまった。
「落ち着け…ナマエ、私の分のケーキをやる」
「大統領!!!いいの??」
「ダイエット中だからな」
「大統領……!私しゃ貴方を好きになりましたよ!」
「では今夜ベッドi「あ、それは無しで」
「……なんだよナマエ、ケーキ、そんなに楽しみにしてたのか」
「なによディオ…?悪いの?」
「……俺の分もやる」
「え!?」
「金さえ出せば毎日食べられるしな…それに俺は甘党じゃあない」
「…なんかムカつくけど…あ…ありがとう…」
「フン」
私の両手は右手に大統領のケーキ、左手にディオのケーキ…「両手に花」ならぬ「両手にケーキ」状態。
嬉しいんだけど…重いな。
「ナマエ…そんなに吉良のケーキがいいのかい?」
「だって美味しいじゃないですか!」
神父がワインを飲みながら私の顔を見てきた。酔ってはいないけど…目が笑っていない笑みを溢して、ちょっと不気味。
「ならば私のチキンをやろう」
「わ!チキン…!美味しそう…!…え!?だって…チキン楽しみに……」
「構わないさ…ナマエが喜ぶなら」
神父…!流石は神に仕える人間…!
私は神父の心使いにじわりと泣きそうになった。
「私のチキンもあげるよ」
「え!?吉良さん!?いいの?」
「チキンを爆弾に変えた」
「ありが…ん…?」
今、吉良さんの口から聞き捨てならない台詞が聞こえたような…………爆弾って聞こえたけど?え?
「くくっ…冗談さ…」
「冗談に聞こえません……」
「ほら、あーんしてみなさい」
「あーん………(ビクビク」
一口食べたけど何にも無くて良かった。
私が危うく手羽先になるところだった……
「ナマエさん、僕のジュース、飲みますか?」
「やはりドッピオ君、君は私の天使だ」
「オレンジジュースですみません…良ければ」
「〇っちゃんは好物です。もちろん頂きたい(キリッ」
うわぁ…!
おろおろするドッピオ君可愛いぜ。弟にするならこういう子。というか欲しい…!
「ドッピオ、ナマエを甘やかすな。太る」
「何ぃ!?このネト廃人が!!」
「貴様、最近体重が増えただろ?」
「…1s増えただけ……ってなんで知ってんのよ!!」
「胸の辺りも増えていたな」
「DIO……お前ら何故に私の体重と胸囲を知っているのよ………!」
「「覗いているからな」」
「波紋疾走!!!!」
「おっと」
…どうりで最近風呂に入っていると視線を感じると思ったら…。
二人とも承太郎にオラされろ!
くそう!やけ食いだ!
「うまいのだ(もぐもぐ」
「カーズは相変わらず良く食べるね…」
「食べねば究極生命体になれないからな」
「そんな成長期みたいな…」
「ナマエ、クリームついているぞ」
「え…?」
私のほっぺたに付いていたクリームをカーズが舌で舐め取った。
生暖かい感覚に体が思わずビクリと痙攣した。
「……!!!」
「もったいないのだ」
「っ……いきなり止めてよ……」
「ナマエ、このDIOにワインを注げ」
「だが断る」
「ほう…?貴様このDIOに注げぬのか…クリスマスプレゼントとやらを用意したのにか?」
「…ぷ…プレゼントで釣られません…!!」「欲しかった首飾りだぞ?」
「………注がせて頂きます…」
「素直で良い」
12月25日。
世はキリストが生まれた日。聖クリスマス。
荒木荘は…今日も賑やか。
楽しい楽しい1日でした。
Jingle, bells! Jingle, bells! Jingle all the way!(ナマエさん、お誕生日おめでとうございます!!)
(あれ……あっ、そういえば今日誕生日だったんだ)