頂きもの | ナノ


  デートの誘い方


「露伴先生、どっか出かけましょうよ」
「君は図々しいという言葉を辞書で引いてみたほうがいいんじゃないのか」
「図々しい、恥を知らない。厚かましいなどのさま、例文、図々しく居候をきめこむ」
「本当にひくな」
「そこに辞書があるのが悪いんです」

そういや資料として辞書置いてたなとぼんやりと思い出しながら僕は額に手を当てた



今日も今日とて家にいる名前なのだが今日も仕事をする僕の背後で本を読みながら妙なことを言い出した
こいつ自分が居座ってる身分だということを忘れてないのか

「囲いこまれ管理された自然の中に、遊戯機械・施設、食堂、売店などを配し、各種の催事やアトラクションを提供する屋外型娯楽施設に行きましょうよ」
「何のことかと一瞬考えたがそれは遊園地だな」
「ネットで調べました」
「そこは辞書を引け!」
「先生、残念ですね、私は現代っ子です」
「だからどうした」

こいつは脈絡ということを知っているのだろうか
いや、今こいつに聞いたら辞書引くかネットで調べて返してくる
ここはその話はほっておこう

「なんで遊園地なんだ」
「響きがちょっと乙女チックだったから?」
「お前の女子力を上げるためだけに利用された遊園地に謝れ」
「安心してください、遊園地の名前ごときで私の女子力は上がりません!」
「逆にお前はそれでいいのか」
「諦めが早いほどいいことはないんですよ」
「無駄なところは潔いな」

その潔さをもっと早く発揮して欲しいのだがまあ発揮しないだろうな

「遊びに行きたいなら別に僕じゃなくても暇な奴がいるだろう」
「案外みんな暇じゃないかもしれないじゃないですか、流石に私みんなの邪魔はしたくないんですよ」
「ほう、つまり名前は僕ならば邪魔をしてもいいと?」
「な、なんでそんなこと言うんですか?」
「僕が間違ってるとでも言うのか?」
「露伴先生なら迷惑かけるに決まってるじゃないですか、そんな当たり前のこと聞いて楽しいんですか?」
「聞いた僕がバカだったよ!」

ダメだ、名前と話してると原稿が進まない
ここは無心になれ、岸辺露伴
取り合ってたら本当に日が暮れる
僕が作業に戻ったのを見てしばらく名前は静かになった
どうやら諦めたみたいだな…それから二分ほど時計の秒針だけが響いた
また読書にも戻ったのかなと思った時だった
まるで独り言のように##は呟いた

「まあ、行きたくないなら別にいいんですけど…」
「……」
「でも一番はあれですよ、露伴先生と出掛けたことなんてほとんどないじゃないですか、だからふとどっか行きたいなーって思っただけですよ」

なんなんだ
何当たり前みたいにそんなこと言ってんだ
チッ…ああ!もう!なんで聞いた僕が動揺してるんだ!
無心になると宣言した途端これだ!
これじゃあまともに原稿も仕上がらないじゃないか…
仕方ないかと盛大に心の中でため息をついた
そしてペンを置き立ち上がった

「行くぞ、名前」
「え、どこにですか?」
「たまたま遊園地が出てくシーンがあるからそれの取材だ、取材なくしてはリアリティは生まれないからな」
「マジですか!?着いてっていいんですか!!」
「あれだけ人に外に行きたいと言っておいて今更聞くか?」
「そうっすね!じゃあ訂正されてもついてきます!」
「あくまで取材だからな」

   



+++お礼文+++


「THERE'S NO SUNSHINE」のルーノ様より
5000hitフリリクを頂きました!

露伴先生…!ぜひ遊園地いきましょう((
そして一緒にデートを/// ←

辞書を引いちゃう夢主ちゃんに思わず笑ってしまいました(←

素敵な小説に私もう心臓飛び出しそうです…(´///`)ヒャー

本当にありがとうございました!

大切に飾らせて頂きます!

prev / next

[ back to top ]


第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -