もう一度
*アイシテルをもう一度
アメリカ行きの帰りのフェリーの中でお腹をゆっくりとさすった。
「子供がね、出来たの」
実家の母に電話でそう伝えようか迷った。ストレートに言おうか深刻に言おうか…それだけで頭がいっぱいになった。
母は多分良い顔はしない…
分かってる。決断したのは自分。
…だけど…父親の居ない子供を一人で育てていく自信はない。
急に息が苦しくなった。
あの人の事を考えたら胸が苦しくなった。
あの人の居ない寂しさ…
孤独が私を殺した。私の辛さを深くした。
『…徐倫、が良いな』
『徐倫…?』
『生まれてくるその子の名前だ』
『…ふふっ』
『何かおかしいか?』
『驚いたの。承太郎から名前を付けてくれるなんて思わなかったから』
『…ふ』
『徐倫、ね…私達の間に生まれてくれてありがとう…』
『お前に似て優しい奴が生まれるといいな…』
思い出した。
承太郎の研究施設の近くにある小さな森の木陰で二人で座り、生まれてくる子供
の名前を考えた事を。
あの人の木漏れ日のような台詞。
そしてあの人の肩に寄り添い温かな日差しに包まれた事を…
…考えたら涙が出た。
あの人は居ない。
もう私に寄り添ってくれない。
話掛けられない。側に居られない…
抱きしめられない………。
…分かってた…
決断したのは自分だから
私のお腹の子の温かみが分かった。
あの人の子が…私のお腹の中で育ってる…
きっとあの人に似ているだろう。
それとも優しい子かな…
「…徐倫…」
アメリカ行きのフェリーの乗船客の中に家族連れが居た。
私と同じくらいの年の女性…母親かな。
隣に父親がいる。そして母親に抱き抱えられている子供。
その光景を見たら私の顔は不思議と笑みに変わった。
私もああいう風に徐倫を育てて母親になるんだろうな考えたら楽しみにも思えてきた。
「どうか幸せに育って…」
ささやかな願いを込めて私はまたお腹をさすった
穏やかな笑顔作りながら
――――――――――――
承太郎x徐倫ママ目指したのに…(ガクっ
見事に散った←
色々とWWW
六部ではわりとすきなカップルです(*´∇`*)
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