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大統領って凄い。
荒木荘がいつにもまして騒がしいと思ったら、
最近めったに荒木荘に顔を出さなかった、ヴァレンタイン大統領が来日?してきたらしい。
そこで日本の事を知りたいらしく、何故か私に観光案内…というか日本案内的なのをしてほしいということなので今大統領と一緒に居ます。
「あのさ、大統領。仕事しないの?」
「安心しろ。館の者に押し付けた」
押し付けたって…自分やりたくないからでしょw
全くものぐさな大統領だこと。
「それよりセシル、あれは何だ?」
「ああ、あれ?あれは学校」
ふむ。なかなかよいな、なんて呟きながら学校の方をマジマジと大統領は見ていた。
…ていうけど、あれ、小学校だよ。大統領
そういう趣味がおありなんですね、怖い。
私はちょっとドン引き加減で大統領に話しかけてみた。
「私にもああいう日が欲しかった」
「そうなの…?だって大統領は裕福な筈じゃ…」
「そう見えるだけだ。実際は若い頃は兵士として闘ったし、友人だって平気で裏切ったさ」
ヤバイ。
自分を語る大統領の目がマジだ。
本気と書いてマジと読む。
これはマジな話だ。
「へえー…以外と苦労してるんだね、大統領も」
「ふっ…こう見えてな」
「ところで、セシル、私の元に来る気はないか?愛国心があればいつでも歓迎するぞ」
確かに愛国心は、本当に自分の国が好きでなければ成せない熟練?な技だわ。でも私には真似できないかな…。わたし、洗脳とか、宗教とか、占いとかあんまり信じない質なんだ。だからそういうの嫌い。
「やめとくわ」
「…そうか……残念だ」
別に大統領がきらいってわけじゃないけどさ、
私は、一家団欒が好きなんだ。
「仕方ないな…では、これをやろう。小遣いにしなさい。きっとDIO はお前にはやらないだろうからな」
大統領が私にくれたのは三枚ほどのドル札。
確かにこんな高価なものは父さんはくれない。ましてや初流乃だって。
私はお金に目がないわけじゃないが……
「やっぱり考え直していい?」
つい本音がでてしまった。
ああ、お金って罪な生き物。
「素直で良い子だ」
大統領は静かに笑い、私の頬にキスをした。