うりぃんぼ。 | ナノ


▼ 1


「初流乃、さ…。今日一緒に帰ってくれない?」

「セシル?…良いですよ」


初流乃とは毎日じゃないけど、一緒に下校している。

理由はただなんとなく
「一緒に帰りたいから」。

家に帰るとまずパードレが玄関で(余計な)お出迎え。しかも部屋まで着いてくる。


初流乃と一緒に帰るとパードレの態度が一変するの。

パードレの弱点は初流乃だから、一緒に帰るとパードレがおとなしくなる。


「…ふふ、懐かしいですねこの坂」

「え?何が?」

私は鞄をブンブンと回しながらジョルノの話を横で聞いていた。

「セシルは覚えていないかも知れませんが…昔パードレが保育園まで迎えに来てくれたんですよ…そしてこの坂でセシルを肩車してくれたんですよ」

「……そんなこと…あったっけ?」

思い出した。
確かあれは保育園の運動会の帰り道。
ジョルノはかけっこで一等賞を取ったけど…私は転んで最下位。

泣き崩れて帰ろうとした時に…パードレが迎えに来てくれたんだ。

そして右側でジョルノの手を握り、肩に私を乗せて、肩車してくれたんだっけな。

泣き崩れた私を…パードレはそっと目隠しして…こう言ったよね。

"DIOの子は皆、素晴らしい…もちろんセシルもだ。だから泣くんじゃあない"

パードレに言われた時、私はまた泣き崩れたんだよね。

…ちゃんと…覚えているよ。


…ジョルノってたまにムードメーカーだなって思う。 今日だって私に思い出させてくれたし。

だって何かしら家族の支えだし。

無くてはならない存在だよ。

たとえ私と血が繋がっていない双子であっても…私はジョルノが大好き。


「さあ、帰りましょう。我が家へ」

「うん」


私とジョルノは長い坂を下り、赤い夕日を背に、暖かい我が家へと足を進めた。





「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -