ひれ伏せココロ | ナノ




「マリア、お偉いさんがお呼びよ」

「私ですか?」

いつものように掃除を終え、自分の部屋に戻ろうとしたとき、メイド長さんが私を呼び止めました。

何でもヴァレンタイン様のお付きの方が私に用があるらしく、着替えはしなくてそのままの格好…メイド服でホワイトハウスの玄関まで来てほしいとのことらしいです。私は、何かしてしまったのではないかと心の内に若干の不安を抱えながら玄関へと急ぎました。 

「遅れてすみませんっ!私に、ご用とは?」

息を切らしながら、滅多にかかない汗をかきながらヴァレンタイン様のお付きの人の元へと行きました。お付きの人は険しい顔で私を見たあと、何も喋らずに白馬の馬車の扉を開けた。

「早く乗れ…。大統領がお前をお待ちだ」

「…え!?ヴァレンタイン様が?!」

私はヴァレンタイン様のお名前を聞いた瞬間に息切れを忘れ、汗を出すのを止め、喜んで馬車へ乗り込んだ。初めて乗る馬車は、シルクの素材のシートに、赤いレースのカーテンを揺らしながら白馬は荒い息でホワイトハウスを後にした。

「あ、この、格好……」
「構わん。大統領がそれの方がお好きらしい」

相変わらずヴァレンタイン様のお付きの方は態度が冷たいです…。仕方ないことですが。

そんなことよりも、ヴァレンタイン様にお呼ばれされた事で、嬉しい気持ちのほうがいっぱいです!

小雨が降り始めて、少し天気が心配ですが、ヴァレンタイン様に会えるから私の心は晴れています。

ホワイトハウスの窓からしか見たことのない景色とは違い、馬車から見える街の景色はとても綺麗でした。ああ、この街の景色を守っているのがヴァレンタイン様なんだ…。

「着いたぞ、降りろ」

馬車はやはり早いですね。
もうヴァレンタイン様のところまで私を運んでしまいました。もう少し街の景色を見たかったのですが……。

馬車から降りれば、外はもう雨でした。
さっきの小雨は本降りへと代わり、ザーザーと大きな音を響かせ街を覆っていました。

「中でヴァレンタイン様がお待ちだ」

「ありがとうございました!」

私はヴァレンタイン様のお付きの人にペコリと頭を下げて待っていた別のヴァレンタイン様のお付きの人と白い建物の裏口から中へ足を進めました。

「!」

すると、この建物の入口の方からある人の声が聞こえてきた気がしたので足を止め、ヒョコリと覗いて見ました。

やはり…聞き覚えのある声の主は、ルーシーお姉様!レインコートに身を包んでいましたが、あのお顔は間違いありません!久しぶりに見た顔は元気そうで、良かった…

「ルー…」

話し掛けようとしましたが、目を向けたらもう裏側にはルーシーお姉様はおらず、警護の人だけが立っていました。ルーシーお姉様は、何だか慌ただしそうにオズオズとしていましたが…どうしたのでしょうか?…やはり私の見間違いだったのでしょうか…?
















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