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死にそう、とだけ打ったメールを送信して間もなく凜之介が部屋に飛び込んできた。こういう時にお隣さんという関係はとても便利なのだ。

「薬…かばんの中」

横たわりながら、弱々しく伸ばした手で指差したベッドの脇。遺言のようにつぶやいた私の言葉を聞くや否や、錠剤が入ったビンを探り当てた凜之介は再び部屋を出ていった。かばんに手を突っ込む躊躇がなかったから相当慌てているようだ。自分のことでもないのに、あいつときたら相変わらず優しいやつである。
薬と一緒に、台所から持ってきてくれた水を飲み干した。体が抱えた痛みはまだ残っているけど、心なしかやわらいだ気がしないでもない。するとベッドに腰かけた凜之介が自分の太ももをぽんぽんと叩くので、私は遠慮なくそこへ頭を下ろした。

「ありがと」

見上げれば、凜之介は穏やかに笑って応えた。繰り返し髪を撫でる手のひらに眠気を誘われる。こんな待遇がおまけで付いてくるなら女の子の日も悪くないなあ。なんて調子のいいことをぼんやり考えながら、私は重い瞼を閉じた。


剞戸部って妹いっぱいいるから、こういう対応慣れてそうだなと…おかんか

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