フランが幹部だと分かったのはついさっき。未だに会議は続けられております。といっても、隊の割り振りと隊長の自己紹介、あたしたちの自己紹介、そしてここの方針のみらしいんだけど、いかんせんここの幹部たちは皆はしゃぎたいお年頃なのかなかなか話しは進まない。


そして、隊長の話しだと、さっそくあたしは明日から任務があるらしい。Cランク任務らしく、そんな簡単なものなんだから作戦なんていらないとスクアーロ隊長が吠えていたのはついさっきだった気がする。


「変態が近づいてくんじゃねえよ!」

「な、なんだと!」

「知ってますー?変態先輩ってー、部下の間でも評判なんですよー」

「なっ!何だと!?」


若干顔を赤らめうろたえる変た…じゃなかった。レ…、変態はかなりキモい。


「キモイって評判なんですー」

「ししし、それまじかよ?」

「はいー。名前なんて初対面で妖艶だって言われたらしいですからねー」

「はあ?あいつのどこが妖艶なわけ?やっぱ変態って目も腐ってんじゃねえの?」

「ちょ、ベル隊長!それ、あたしに失礼すぎじゃありません?まあ、色気があるなんて思ってませんけど」

「う゛お゛おぉい!てめえら話し聞くきはあるのかあ!?」


今まで話していたスクアーロ隊長がとうとうキレた。


「ししし、ない」

「なんだとお!?」

「だって、俺王子だし」

「王子って言っても、堕王子ですけどねー。堕ちた王子ですよ」

「ハッ、ちげえし」


再び投げられたナイフ。そのナイフは、またまた見事フランの背中に刺さった。


「いったー…。ミーにだって痛覚はあるんですからねー?」

「じゃあ、さっさと死ねよ」

「ミーだって死ぬときは死にますよー。これだから堕王子は」


そして、フランの背中には、ベル隊長が投げたナイフがすでに5本も突き刺さっている。その姿は、カエルにナイフを突き立てているようにしか見えない。というより、ハリネズミのようになってしまっている。


フランが本当に幹部だったんだ、と思う瞬間は、今の今まで一度もない。つまりまるっきり実感がわかない。でも、ルッスーリア隊長やスクアーロ隊長までもがフランを幹部だというんだから、信じないわけないは行かない。これでドッキリだったらその体二つに分けてやる。


と、話しは逸れてしまった。


一つ重大なのは、幹部にたいしてタメ語にくわえ、カエル頭を爆笑してしまったこと。下手をすれば殺されるような行為に、周りの新隊員は顔を青くさせていた。もちろんあたしだっておっかなびっくりだ。


というか、ここの幹部の人たちってあの噂のどれにもマッチしない。クールで仕事も素早くこなして、部下思いで、ボスに忠誠を誓ってる?まず初めのクールという時点で違う。仕事の早さはしらないけど、フランを見てる限り素早いなんて絶対にありえない!部下思いっていうのも、さっき違うってわかった。だいたい、部下思いの人が新隊員を40人も殺したりしない。ボスに忠誠を誓ってる?それは…、そうかもしれないけど、変態隊長は異常だと思う。


あ、そういえば、フランが隊長なら、あたしたちは友達ではなく上司と部下になっちゃうのかな?でも、あたしとしては友達でいたいしなー。別に、友達のままでもいいよね?うん。いい。良いに決まってる。


「よし。じゃあいいや」

「何が?」


そう尋ねてきたのはベル隊長。ティアラが反射してあたしの目を照らす。


「…隊長。ティアラが眩しいです。反射して目を攻撃してくるんですけど。新手の苛め?」

「ししし、俺王子だし」


いやいや、関係無いでしょ。と思ったけど、言う前にナイフをちらつかされた。


「なあ、お前ってあいつとどんな関係なんだよ」

「アイツって、フランですか?」

「そ」


その質問に少し首をかしげて考える。どういう関係って、男と女、上司と部下、友達、仲間、ヴァリアーの人。いろいろと区切れなくはないような気がするけど、やっぱり友達でしょ。


「友達です」






呆れるほど鮮やかに、
(笑ったこいつはここにはあわないと思った)

(なんてことはないんだけどな)
(?何がですか?)
(ししし、早死にしそうだよなお前って)
(うっわ不吉なっ!あたし明日初任務なんですからね!)
(名前は見るからに馬鹿そうですからねー)
(フランまでひどくない!?)








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