あたしは、この間ヴァリアーに入隊した!念願だったんだよねー!だって、ヴァリアーってあの最強だよ! 幹部の人たちは、皆最強だって言うし!泣く子も黙るヴァリアーってね! 幹部の皆さんはクールで仕事も素早くこなして、部下思いで、ボスに忠誠を誓ってるんだって!いろいろな噂があるけど、あたしはまだ見たことがない。 顔合わせはあるらしいけど、それもいつのことか。ヴァリアーの屋敷の中だって狭くない。そのせいで幹部の人なんて見かけないし。 あたしは、屋敷内を覚えるということを名目に只今探検中。本当は友達とかつくっておしゃべりとかしたかったんだけどね。だって、こう見えてもまだ遊びたいざかりの年だし? ここって、おっさんばっかで女のひといないんだよね。それどころか、同期に入隊した人なんてみんな年上ばっか。どうなってんのさって、愚痴ってたのは昨日のこと。 「にしても、庭まで広いとは…」 広大な庭にきて、その美しさにあまり注意を払うことなく庭をつきすすむ。誰か人がいないかなー、猫とかいないかなー、あ、鳥がいるー。撃ち落としたら食べられるかな? そろそろお腹がすいてきたんだよね。あ、でも、今日は天気もいいし、日向ぼっこもいいかも。 そんなことを考えていると、庭の原っぱに腰をおろして日向ぼっこをしている先客を発見!!しかも、後ろ姿的に若い!!どうしよう!これって、お友達になるチャンス!? ってことで、話しかけてみました。 「あの〜」 「?なんですかー」 「お隣いい?」 「……ミー、襲われるー?」 キャー、と棒読みで胸の前にクロスをする、緑髪の少年に、襲ってやるー?と同じような間延びした調子で返せば、ものすごく白い目で見られた。 ちょっと、へこみつつ、お隣に座る。だってあたし、ヴァリアーで同じ年ぐらいの子にあったの初めてだもん! 「で、ミーになんか用があったんじゃないんですかー?あ、もしかして堕王子からの呼び出し??」 「(堕王子?王子と知り合いなのか?この子)ううん。違うよ。同じ年くらいの人って初めて見たから、話しかけたかっただけ」 「はー…、新人さんですかー?」 「ピッチピチの新人さんです!」 「うわー、キモ」 「ひどっ!」 少し、身を引いてそう言われたのでかなりショックを受けた。どうせ、どうせっ! あ、そういえば、名前聞いてなかった。 「お名前は?」 「唐突ですねー」 「だって、今思ったんだもん」 「そっちはなんていうんですかー?」 首をかしげると、彼の緑の髪がサラリと流れた。男の子だよね?実は女の子だったりする?髪がすっごいさらさらなんだけど! 「あたし?名前を尋ねるならまずは自分から!」 「その言葉、そのまま返してやりますー」 「あ、そっか。あたしねー、雨隊の名前って言うの!」 「はあ、ミーは、フランっていいまーす」 「よろしくね!フラン!」 「よろしく、したくないですけどねー」 「もうっ!照れてるの?」 「………」 からかうつもりでそう言ってみたら、思いっきり体を引かれた。何さ、何さ!あたし、変なこと言ってないもん!思ったこといっただけだもん! そう言ってみたら、それがキモいんですよーって返された。 「もういい!でもフランは、あたしのヴァリアーでの友達第一号だからね!」 「…友達が一人だけなんてさびしい人ですねー」 「ヴァリアーでの、だもん!だって、ヴァリアーって、なんでかムッさ苦しいおっさんしかいないじゃん。この前なんて、背中に傘さしたおっさんに、妖艶だ…って言われたんだよ!キモっ!」 うっわ、思いだしたら、まーった気持ち悪くなってきた。偶然ばったり廊下で出くわしちゃったんだけど、あれはないね。あのおっさん、絶対に変態だよ。 「それってー、たらこ唇のキモい変態ですかー?」 「そう!そいつ!」 「あー、ご愁傷様です」 あたしを神様か何かのように拝むフランをみて首をかしげる。 「あの人に目をつけられたら、最後地の果てまでストーカーされるんですよー」 「ゲッ…」 「ほらー、あそこに……」 そういって、フランが指差した方向を見れば、確かに、あの時のおっさんがこっちに向かって走ってきていた。き、キモっ! 「わわわっ!あたし、もう行くね!またね!フラン!」 あたしは、急いであのおっさんから遠ざかるために走り出したのだった。 些細なおしゃべりで、 (フランとお友達になれちゃった!) (おい、フラン。ここにいたのか) (変態先輩がなんの用ですかー?) (へっ!?…ゴホン!新隊員への顔合わせをやるため、ボスがお呼びだ) (そうですかー。よっこいせ。じゃあ、行きますかねー) (ところで、今の娘は…) (……変態だー変態だー、っておもってはいましたけど―、本当に変態だったなんてー、ミーかなり引きましたー) (なっ!?) |