皆の先輩シリーズ | ナノ


▼ 禍津ジン、真間雁メグミ(3/4)

「ま、轟鬼くん関連のこととなるとだいたいの察しはついているよ。彼が頭を抱えることと言えば、今も昔も生徒会のことだからね。祠堂くんのことだから生徒会長になった途端にやらかすとは思っていたけれど、正直、八百長に関しては私からとやかく言う必要はない気がするね。どうせそこまで問題にはされていないんだろう?」
「それは、まあ……」

現生徒会長こと祠堂孫六に八百長を持ち掛けられていた俺としては非常に耳が痛い話だった。
しかし、何故外部の人間であるカガリ先輩が八百長のことを知っているのだろうか。
用事が済ませて早々にこの場から立ち去りたいとも思うが、色々と探りを入れたいとも思う。

「なら、私からは以上だよ。君たちからは何かあるかな?」

丁度質問が出来る状況にもなった。
早速俺は口を開きかけるが、それより先にメグミが疑問を紡いだ。

「一つ、訊いても?」
「何かな、真間雁ちゃん」
「先輩は、どうして私たちの名前を知ってたんですか? その……初対面のはずですよね」

メグミの一言に、はたと気付いた。
確かカガリ先輩は、俺とメグミが声を掛けるよりも先に声を掛けた。それに名乗ってもいないのに『禍津くん』と『真間雁ちゃん』と言い当てている。
それだけではない。
何故、四人掛けの席に座っておきながら彼女は自分のバディと向かい合って座っていなかったのだろう。
あらかじめ八百長の件と共に俺たちのことを調べ、尚且つ俺たちが来ることを読んでいた?
まさか、俺と同じような手段を使ったのだろうか。
カガリ先輩の隣で沈黙を保っているアスタロトを一瞥すると、俺の気配を察したのか、アスタロトは小さく笑みを零した。
じわり、と嫌な汗が頬を伝う。
なら、今目の前にいるこの先輩の目的は、何だ。
不安が胸を掠めるが、そんなことには一切気付いていないであろうカガリ先輩は俺を見ないまま、メグミに微笑みかけた。

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