皆の先輩シリーズ | ナノ


▼ 炎魔バン(4/4)

「……一本取られたね。流石、漢の中の漢だ」

嬢ちゃんはぐいとコーヒーをあおったあと、ベンチから立ち上がった。コンビニ前に設置されているゴミ箱に空になった紙コップを捨て、改めて俺の方を振り返って笑った。
年相応の笑みが、そこにはあった。
今度は俺が目を見開く番だった。

「さて、私はそろそろ失礼するよ。ちゃんとゴミはゴミ箱に捨てるんだよ」
「お、おう」
「最後に何かあるかい?」

何か、と問われ、真っ先に思い出したことがあった。多少言いにくいことではあるが、一応言っておいた方が良いかもしれない。
俺はなるべく深刻そうな顔を作った。

「……嬢ちゃん」
「うん? なんだい?」
「その……さっきしゃがんだ時に見えてたから今度から気を付けろよ」

しゃがんだ時、と呟いた嬢ちゃんは首を傾げていたが、やがてその意味を理解したらしい。
気まずそうに、笑われてしまった。

「その、それは見苦しいものを見せてしまったね」
「いや、正直眼福」
「貴様ァァァァ!」

突然何者かの声が響き渡ったかと思えば、右頬に衝撃が走り、俺の身体が宙を舞った。
空腹で気絶することはなかったものの、まさかカードから現れたバディモンスターに殴られて気絶することになろうとは。
薄れゆく意識の中、顔を引きつらせた嬢ちゃんと目が合った気がした。
ちなみにその後、再び嬢ちゃんに介抱され、突然現れたバディモンスターが嬢ちゃんのバディだと知ることになるのはまた別の話だ。

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