皆の先輩シリーズ | ナノ


▼ 絢爛朱雀、大公爵アスタロト(2/3)

建物の屋上から夜の超名古屋を見下す。空には雲が覆っている一方で、街には煌びやかな光が瞬いていた。
カガリが居なくなり、かなり時間が経っている。ここ最近はまともに寝ることも出来ず、不安と後悔に苛まれ続けていた。
バルバトスから力の使い過ぎだと忠告されたが、それでも連日カガリの気配を探ることをやめなかった。
だが、どうしても辿りつけない。
まるでカガリが地球から居なくなったと錯覚するほどに、カガリの気配が消されている。
脳裏に過るのはあの軽薄そうな男の顔だ。恐らく、気配で辿りつけないよう奴から妨害を受けている。
その時、なにかが割れた音が微かに聞こえた気がした。

「っ……!?」

はっとして夜の超名古屋城の方向を見るが、特に変わった様子はない。
カガリの気配を隠していたであろう結界がなぜか今解かれた。
罠の可能性が頭をちらついたが、それでも賭ける価値はある。
街の明かりに照らされ伸びる自身の影に視線を落とし、目を閉じて彼女の気配を探る。自身の影に身体が沈み、どこかの部屋に繋がる感覚があった。
恐る恐る目を開けると、ソファに座っている彼女と視線が合った。

「カガリ!」

思わずバディの名前を叫ぶ。駆け寄って両肩を掴むと彼女は、カガリは私に微笑みかけた。

「やあ、アスタロト。待っていたよ」

取り乱している私と相対するように、まるでつい昨日も会ったかのように、カガリはいつも通りだった。
いつも通り、落ち着いていた。

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