箱庭都市

 空は快晴。どこまでも青が続いていた。日は昇っていたが、それほど暑くは無く、心地好い風がさらさらと草木を揺らしていた。今日は学校の創立記念日で休校日。僕は家でだらだらと過ごしていた。テレビを付けても、特に面白味も無いワイドショーやドラマしか流れておらず、見たい番組も無い。ネットを眺めても、口汚い罵詈雑言が目に入ってすぐに見る気を無くした。さてどうしようかと玄関の前に立つ。適当にコンビニでも行くかと靴を履き締める。外は気持ち悪い程静寂に包まれていた。人が歩いていても、無味な表情で黙りこくっているだけ。人工的に作られたかのような印象に、すうっと背筋が寒くなるが、すぐに馬鹿らしいと一蹴した。風がさらさらと吹いている。空は綺麗な青。それらが本物だと断定する術は無い訳で。何だか不安定な気分になりながら、歩みを早めた。コンビニの前に着く。24時間営業のはずが、店に明かりは灯っていない。違和感が一瞬で僕の全身を駆け抜けた。コンビニの前の道路へ飛び出す。道端に止まった車は動かないまま。周りを見る。先程まで動いていたはずの人が、ぴたりと動きを止めていた。何だ、これ。理解が追い付かないまま僕も立ち尽くす。ふと、空を見上げる。青い空が、ぼろぼろと崩れ落ちてきていた。

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