ひとりぼっちの宇宙

 僕は一人で漂っていた。真っ暗な世界。たまに星の欠片が頬をかするのみ。遠くの方に、青く光る星や赤く輝く星が見えたりもした。でも、それらがどんな星々なのか確認したくても、近付くことは出来なかった。ただ、誰かに導かれるままに、くるくると漂い続けるだけ。一人ぼっちで、いつまでも。それが僕に課せられた運命なのだろう。少し寂しいけど、受け入れるしかないのだ。
 ひたすらに暗い宇宙を泳いでいたある時、何か小さい――明らかに星とは違う何かが、僕の方に向かってきているのが見えた。あれは何なんだろう。自らの力で動くことの出来ない僕は、それがこちらへ近付くのを待つしかなかった。そして、何時間か何日かして――遂に、その謎の物体は僕の元に降りてきた。僕はそれを凝視する。きらりと光る物質が付けられていたり、よくわからない管が幾つも付けられていたり――正直、僕には検討もつかない代物だった。一頻り調べた後、どうしようかと僕が悩んでいたら、急にその物体は動き出した。少しずつ、少しずつ宙に浮かんでいって、僕のもとを離れていく。

 ――行かないで!

 僕は咄嗟に手を伸ばした。

 ――僕を一人にしないで……

 伸ばした手は、虚しく空を切った。
 物体はどんどんと僕から離れていく。広大な宇宙に対して、その物体は余りにも小さかった。――彼には、帰るところがあるのだろう。何となく、僕はそんなことを感じた。
 そして、また、僕は一人ぼっちになった。暗い宇宙をふわふわと漂うだけの毎日だ。きらきらと輝く星が見える。手を伸ばして、星の輝きを隠す。

 ――こんなにも、簡単に見えなくなるのに……

 僕は手を降ろす。星は変わらずそこに存在している。きらきらと、無情にも。

 ――あの星にも、一生辿り着けないんだ。

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