一抹の不安

 それは、ぽたりと僕の中に突然現れた。一瞬ちくりと僕の心を刺激したが、特に害も無かったので見てみぬふりをした。そのまま僕はいつも通りの日々を過ごした。一般的な学生のように、学校へ行き、友人と遊んだ。しかし、心に刺さった棘は、少しずつ少しずつ増えていった。僕の足取りは段々と重くなっていった。明日どころか、今日を生きる気力すら削がれていた。起き上がることすら厭わしい。僕は遂に心を閉ざすことにした。部屋に閉じ籠もり、ひたすら眠り続ける日々。誰かが部屋の外から呼んでいたが、無視した。そうしている内に、扉の向こうは静かになった。真っ暗で平静な、僕だけの空間。僕は安心して、また眠った。そんな中、ぽたり、と僕の中に一雫。
 ――本当にこのままでいいのか。
 問い掛けは染みること無く乾いて消えた。

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