驚天動地

 目覚めた僕は、驚愕した。頬をつねったり腹を殴ってみたりしたが、結果は変わらない。そして、どうしてこうなったのか、思考する。しかし、答えは出なかった。もう一度寝て起きれば変わるんじゃないか、とすがるような気持ちで試してみるが、やはり変わらない。万策尽きた僕は、途方に暮れた。上方を見つめる。ギラギラと輝く太陽が憎い。指を曲げる。サラサラと隙間から砂が溢れ落ちる。僕は唸る。暑い。目覚めた僕は、砂漠にいた。全くどうしてこうなったのか……。周りを見ても、人どころか植物さえ生えていない。ここは一体どこなのか? わかるはずも無かった。とりあえず、どこかへ向かってみよう。そう思った僕は、立ち上がろうと足に力を込める。しかし、足は砂に埋もれて出てこない。どころか、どんどんと沈んでいくではないか。蟻地獄。多分、それの類いだろう。抜け出そうともがくが、逆にどんどん沈んでいく。足は完全に埋まり、いよいよ死を実感し始めた僕は叫ぶ。助けてくれ! その声は虚しく響くのみ。腹、胸、首、そして顔と次々と砂に埋もれていく。全てが砂に埋まり、嗚呼このまま僕は死ぬのか、と思った瞬間。不意に足場が崩れ落ちた。砂地獄から抜け落ち、どんどんと落ちていく。僕はどこに向かっているんだ。考えを巡らす暇も無い程に、落下スピードは上がっていく。そして。どしん、と派手な衝撃が身体を襲った。恐る恐る目を開くと――そこは自室の天井だった。夢、だったのか……。僕はほっと胸を撫で下ろす。その時、手元にじゃり、と妙な感覚が走った。そっと掌を広げてみると、そこには黄色い砂がざらざらと張り付いていた。――夢、だったのだろうか? 真実は、わからない。

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