晴れの日の明晰夢

 心地好い日射しが腹に照り付けていた。ぺたりと腹をまさぐると、そこにはペンが置いてあった。何か作業をしながら寝入ってしまったのだろうか。無意味にボールペンをノックしながら、起き上がる。そこは自分の部屋のはずなのに、どこか違うように見えた。扉を開ける。玄関へ向かおうとする。しかし、やたらと廊下が伸びていた。いつまで歩いても辿り着けない。仕方がないので引き返そうとする。後ろを振り向くと、そこは校舎の中だった。どこか懐かしい香りのする廊下。休み時間のため、生徒がごちゃごちゃと存在していた。そこでふと気が付いた。これは夢だ、と。明晰夢。右足を一歩踏み出す。きちんと意思通りに動いた。ならば、この懐かしき場所を散策してみよう。生徒で溢れ返る廊下を擦り抜けて、階段まで辿り着く。ここは恐らく二階だろう。上を目指すことにする。階段を踏み締め、三階に辿り着く。そこの廊下には、誰一人生徒がいなかった。しんと静まり返る校内。自分の足音だけが響く。ひたひた。何故かスニーカーを履いていた。土足厳禁なのに。廊下をひたすら突き進んで、突き当たりに目的の場所はあった。図書室。扉に手を掛ける。開かない。ここまで来て、どうして。僅かに開いていた窓から向こう側を覗く。目の前に広がったのは、真っ暗な世界。それを認識した瞬間、自分の足下も真っ暗になった。ふわり、と浮かび上がる感覚。宇宙に漂っているかのようだ。目の前に青い光が見える。いつか見た、地球の写真と同じものが目前に現れる。綺麗だな。思わずそれに手を伸ばした瞬間、がくり、と足場が崩れるような感覚。びくり、と全身が震えて、僕は眠りから覚めた。壁に掛かった時計は、十二時を指し示そうとしていた。

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