思春期の夢想 ‐世界編‐

 ごろり、と布団に転がりながら、取り留めの無い話を考える。世界が明日無くなるとしたら。ありふれた、陳腐な妄想。既に語り尽くされているであろうその話題を、敢えて持ち込む。世界が明日無くなるとしたら。僕はきっと、それでもこんな妄想をするだろう。そして、それがいいところまでいったところで、世界が消えて無くなる。都合のいい話。妄想の主役が自分なのだから、仕方の無いことなのだけれど。また一つ、寝返りを打つ。視線の先には壁。じっと見つめながら考える。今度は逆に、世界がつい5分程前に出来上がったものだとしたら、どうだろう。僕のこの記憶は全て偽りであり、歴史なんてものも全て嘘っぱちだ。そんな世界だとしたら。自分を証明出来るものはあるだろうか。僕の周りに築き上げられた有象無象が、全て無意味な塵になる。今だって、もしかしたら、この世界はたった5分前に出来たものなのかもしれない。僕にはそれを証明する術など無い。『僕』とは、何なのだろうか。今はまだ、その問いに対する答えは出そうにも無い。いつか僕が歳を食えば、答えは出るのだろうか。それこそ、考えるだけ無駄だろう、と僕は目を瞑った。僕は、今を生きる主義なのだ。

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