雨音

 ざあざあとした音で目が覚める。カーテンの隙間から窓の外を眺めると、雨が降っていた。割と強く降りつけていて、道行く人が鬱陶しそうに傘を差していた。空気は何となく冷たい。夏の暑さは大分堪えたが、湿気を多分に含んだ空気も疎ましい。身体全体にのしかかるどんよりとした空気を追い払うために、冷蔵庫から水を取り出し、一気に飲み干す。程好く冷えたミネラルウォーターは丁度よく身体に染み渡った。濡れた唇を拭い、もう一度窓の向こうを眺める。雨は相変わらず降り続いている。今日が休みでよかった、と思いながら、再び寝転がる。こんな天気じゃ、やる気も出やしない。大の字になって、天井を見据える。何の面白味も無い天井は、数秒で見飽きてしまった。目を閉じる。視界は真っ暗になり、雨の音が聴覚を刺激する。静かだ。雨は嫌いだけれど、雨の音は嫌いではなかった。心を落ち着かせる一定の響き。多分、壁を隔てているからそう思うだけなんだろう。今外に出れば、やはり雨は嫌いだ、と再認するのだろう。息を吸い込む。湿気た空気だ。まあそれも今は許容しておこう。意識を手放していく。雨音は耳の奥で響き続ける。それに多少の安堵を感じた。

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