7th! | ナノ


03



目を開けるとそこには浅黒い肌と青々とした葉っぱの恐竜でした。


「ふぇ、うえぇええええん!!」


うおおおおおおびっくりした!びっくりした!!
何にびっくりしたって葉っぱの恐竜にもびっくりしたけど、自分の涙腺の防御率の低さにもびっくりしたよ!!
恐竜を認識したと同時に、視界が潤みまくるんだもん!
やっぱり赤ん坊だからかな。
ていうかそろそろ涙止まれよ。息苦しい。


「あ、ああ……」

「うあああん!ふぇえええええ!!」


俺をだっこしてる美女がめちゃくちゃ困ってる。
でもごめんなさい。ほんと、止まらないんです。
くそー、赤ん坊って何でこんなに押さえ効かないかな……!


『おお、おお、元気な赤子じゃ
びっくりさせてしまったのう、すまぬすまぬ』


俺がやきもきしてると、葉っぱの恐竜は何か羽っぽい葉っぱで俺を優しく優しく撫でてくれた。
……見た目に反して優しいじゃないか!!
何か鳴き声あげてるけど、やっぱり分からん。
不思議な鳴き声過ぎて言葉で表せない。


「ふぇ……ぐすっ」

「な、泣きやんだ……」

『ふむ……どうやらこの姿に驚いたようじゃな』


呆然とした様な美女を置いて、葉っぱの恐竜は一度鳴くと、また光った。
あれか!美女と同じく人間の姿になるんだな!!
俺の予想した通り、葉っぱの恐竜は光った後に人間の姿になった。
40〜50歳くらいの、優しそうな爺ちゃん。
でも髪の毛の色が緑だ。派手だぞ、爺ちゃん。


「きゃあー!」

「あ、ダメよ!」


思わずその緑の髪に手を伸ばしてしまった。
ごめん美女……!でもこんな自然色の緑髪なんて初めて見たから……!!
慌てる美女に反して、目の前の爺ちゃんは朗らかに笑った。
見た目通りとっても優しいじゃないか……!!


「良い良い、赤子はこうでなければ」

「あー!う!う!」

「ほっほっほ、良い子良い子じゃ」


何だこれ何だこれ!
俺ここに来て一番癒された気がする!!
いや、美女にも癒されたんだけどね。美女すぎて逆に緊張するんだよね。
そんな美女の腕の中で俺は爆睡してたけどねー!!
俺がきゃっきゃきゃっきゃ笑ってれば爺ちゃんが頭撫でてくれた。
爺ちゃん、好きだ……!!赤ん坊好きに悪いやつなんていないよね、うん。


「してミロカロス、この赤子はどうしたのじゃ?」


あ、美女の名前ミロカロスって言うんだ。


「実は私の住処の近くに一人置き去りにされていたんです、長老様」


あ、この爺ちゃんが長老様でしたか。
髪引っ張っちゃてごめんなさい。しかし長老って言う割には若くない?
美女の言葉に爺ちゃんは悲しそうな顔をしてくれた。
美女も爺ちゃんもいつか悪い人に騙されそうで、俺はちょっと怖い。


「置き去りに?そうか……」

「はい、それで、長老様……この子をこの森で保護してあげることは出来ませんか?」

「人とポケモンでは生まれ方も育ち方も違うのじゃ、それはお主も分かっておるじゃろ?
人は人に育てて貰った方が良い、儂等が出来る最大のことはこの子を近くの町まで連れて行くことではないか?」


美女の言葉は嬉しいけど、俺もそう思う。
爺ちゃんのが正しいよ、きっと。
俺がちゃんと人間の新しい親のところで成長できるかはさておき。
だって、これ絶対、授乳とか、オムツ交換とか、あるだろ。
そんなん、俺、羞恥で死ぬ自信がある。


「でも長老様……!この子は、初めて見た私に笑いかけてくれたんです!」


え、俺いつ笑った?全然覚えて無いんだけど。


「人とポケモンが違うこと、私よく分かってます!分かってるつもりです
でも、私、私……」

「うー?」


え?え?何で美女ってばそんなに必死なの?
それを見た爺ちゃんも何で、仕方ないなって顔してるの?
え?この流れ、まさかの前ページのフラグ回収


「……やれやれ、仕方ないのう」


しちゃったー!!!
……でも、まあ、俺もこの二人と離れるって思ったら、さあ、寂しかったし。
爺ちゃん癒されるし。美女目の保養だし。
でもなあ…俺人間だしなあ。


「森の皆にも声をかけるとしよう、皆でその子を立派に育てるのじゃよ」

「……はい!長老様!!」


……しかし、美女のきらきらした目と爺ちゃんの優しい目見たら拒否出来ぬ。
いいや!こうなったら森の皆とやらにも気に入って貰ってぜひとも立派に育てて貰おう!!
二人もそれを望んでるし。
精一杯良い子に育ってやろう。


「あーう!!」


現時点で大分捻くれてるとか、そんなことないしね。
とりあえず、これから宜しく!!


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