7th! | ナノ


02



こんにちは、前回自称創造神の白髪に落とし穴で落とされた×××です。
どうしても名前が思い出せません、ほんとあの白髪呪う。
禿げの呪いを末代までかけてやる。
神が末代あるのとか知らないけどどうでもいい。とにかく呪う。みんな禿げてしまえ。

てかね、ここどこよ。まったく見覚えないんですけど。
しかもね、何なの俺のこの状況。ありえないんですけど。
あの白髪なんてことしてくれちゃってんの。レベル1でラスボスに挑むくらい難易度高いんだけど。
なんなの、俺が呪う前にあいつが俺のこと呪ったの?ふざけんな、禿げろ。
つーか俺、さっきから禿げろ禿げろ言い過ぎじゃね?


「ミロ?」

「う、」


うわああああああああああああああああああああああああああ!
うわああああああああああああああああああああああああああ!!

もう何、驚きすぎて表情が心情についてきてない気がするんだけど。
ミロ?って言いながら俺の顔にその美しい顔をすり寄せるのは止めてください。
いつその美しい口を開いて食われるかと戦々恐々してるんです。
え?男の俺がそう簡単に食われる訳ないだろって?
そうだよ、元の男子高校生の俺だったらもうちょっと落ち着いてるよ!
でもな!俺、今何故か幼児化してんの!!何故かなんてどうせあの白髪のせいなんだろうけど!!
しかも幼児は幼児でも赤ん坊なんだよ!!だって声があ、とかう、とかしか出ないもん!!
何なのほんと!俺の親どこ行ったの!?ネグレクト!?ふざけんな!!


「ミロ?ミロー」

「うー、あ!」


しかも目の前にいるの、どう見たって人間じゃないんですけど。
だって何かミロミロ言ってるもの。言葉分かんないよ!分かったって今の俺の状態じゃ何にも言い返せないけどな!!

……いいや、俺。とりあえず落ち着こうぜ。
こういう時こそクールになろうぜって誰かも言ってた気もするし。
俺の名前は×××。未だに思い出せない。
元は男子高校生だったが、現時点では赤ん坊に退行してる。
……なんかこの時点で挫けそう。
現在地はなんか森、前方には綺麗な湖が見えます。熱い。南国ですか、ここは。
目の前には七色の鱗を持つ細長い魚みたいなやつが、俺の顔を覗き込んでる。

……落ち着けない。全く落ち着けないよ。


「うきゃあぁああ!」

「ミロ……」


俺がじたじたと手足をばたつかせたら、目の前の綺麗な魚が困ったように俺に顔をすり寄せてきた。
止めてくれー!それ逆に落ち着かない…!!
てか腹減った。
何でだ、急に動いたからか?


「どうしよう……こんな所に赤ちゃんなんて……」

「う?」


W H A T ! ?
目の前の魚がざばりと湖から体を持ち上げると、光って人間になった。
説明下手だけど、こうとしか言えない。
魚が、光って、人間に、なった。
しかもその魚、めっちゃ美女。スタイル抜群。非の打ち所がない。
美女は恐る恐るという風に俺を見つめている。
って、顔近い近い!!睫長い!!


「でもどうしてここに……?もしかして、捨てられてしまったの?」

「あうー」


すいません、分かりません。
悲しそうに眉を下げる美女には悪いが、赤ん坊の俺を生んだ親のことは何一つ知りません。
ごめんなさい。
でもこんな森の中で一人ってことは、捨てられたんだろうなあ、俺。
……殺す気ですか?こんな這うことも出来ない赤ん坊置いてくとか。


「ポケモンには見えないから……きっと人間なの、よね?」

「う!」


人間ですとも。
ん?ポケモン?
あの、ポケットに入っちゃうモンスターのことですか?
十歳になったら旅に出て、最終的に悪の親玉とチャンピオンをフルボッコにするあれですか?
あれか、サートシ少年のやつ!?
え、じゃあこの美女はポケモンなのか!?だって魚だったし!!
でも俺が知ってるポケモンはポケモンから人間にはならないぞ…?
てか俺、直前までFFの話してたのに何でポケモン?こういうのって直前にやってたものの所にトリップしちゃうもんじゃないの?


「……」

「……う?」

「……うん」


何か美女がこっちをじっと見つめてたので、思わず見返してみた。
……何食ったらこんなに美人になるんだろう。
俺が赤ん坊じゃなかったら確実に口説いてたのに。
あ、でもこの美女、元は魚だった。
とか思ってたら、美女は決心したように一つ頷いて、何とその細くて綺麗な腕で俺を抱き上げた。

うわああああああああああああああああああああああああ!
うわああああああああああああああああああああああああ!!

何だ、この、羞恥心。
出来ることなら今すぐ自分の顔をこの紅葉のような両手で覆ってしまいたい。
しかし美女のこの豊満なお胸様の中と言うのは、これは不幸中の幸運な気がする。
……いやいやいや!確かに全国の野郎共め、ざまあみろ!!とは思ったけど!!
だからって赤ん坊を享受出来る訳ないし。
お胸様は超幸せだけど。


「あのね、これからあなたを私達の長老のところへ連れて行くからね」

「うー?」


長老とな?
ポケモンの世界でも縦社会があるってことなのか?


「長老様は、ここで一番偉い人だから…まずは長老様に許可を取らなきゃ」

「ふみゅう」

「長老様の許可が下りればあなたを保護出来るかも…
もしダメでも、長老様ならきっといい案をくれると思うの」


あるらしいね。
しかも長老様、もの凄く慕われてるのね。
ん?もしかして俺、ここで暮らすフラグ建っちゃった?


「絶対、辛い思いはさせないわ
私が何とかするから」


建っちゃったー!!
いやでもまだ長老承諾受けてないわな。それ次第か。
しかし、何でこの美女は見つけて数分の赤ん坊をこんなにも一所懸命に守ろうとすんのかね。
俺としてはありがたいけどさー。もしかしてポケモンって人間よりお人好し?

あ、何か眠くなってきた…。
この美女、俺に揺れが来ないように慎重に歩いてくれるもんだから…。
しかも暖かいし……。ふにふにだし……。


「あ……ふふ、眠いの?」

「んにゅ……」


うああー、そんな、優しく撫でられちゃったら睡魔にあらがえないぞ、俺。
赤ん坊の体も睡眠を欲しているようだし……。
ダメだー……も、おやすみなさいー。


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