7th! | ナノ


03



「シオン!シオンは大人になったら誰と結婚したい!?」


泣いてたミロを何とか慰めて住処に戻ってくれば、血迷った白狸がアホなこと聞いてきた。
あ、今実は俺、ミロと手繋いでんだよ!うはー、幸せ!!
でも俺の前で目を爛々させてる白髪がいるから、やっぱり差し引きゼロかも。俺の機嫌。


「なにねぼけたこといってんだよ、このしらがやろう」

「……いや、今のところはハクリと結婚するって言って欲しかったんだが」

「え、シオンにそんなこといってもらえるほどすかれてるとおもってたのしろだぬき」


俺の幸せを見事にぶっ壊してくれたから、俺もお礼にこいつをぼっこぼこにすることにした。精神的に。
効果的に抉るために、わざと舌っ足らずなしゃべり方してみたよ。ごめんね、読みにくくて。
ハクリは地面に両手ついて、orz状態になってる。はっ、ざまあ。
俺とミロの邪魔する奴はギャロップに蹴られてしまえ。ついでに帰ってくんな。


「てか、なんでそんなくだらないはなしになってんだよ」

「く、くだらない……」

「だいたいてめー、ミロがすきなくせになにいって」

「あぁあああああああああそれ以上はダメだ!!」

「もがっ」


真実言おうとしたら、ハクリに思いっきり口を塞がれた。
ふざけんな、触んな白髪。苦しんだよ離せボケ。
何だよ、あんなに分かりやすい態度取っておいて本人に気持ち伝えられないってのか?このチキンめ!!
ミロ、お願い。そんな優しい目で見ないで。
わた、お前そんなはらはらしてんだったらさっさとこの白髪引き離せ。


「そうしてると家族みたいよ、二人とも」

「「えっ」」


ハクリの弁慶思いっきり蹴り飛ばしてれば、ミロがそれはそれは美しい笑みでそう言った。
おいこら白狸、嬉しそうな声あげんな。
俺のえっとお前のえっは同じ音だけど意味は全く違うんだからな。


「やだ、やめてよミロ!こんなのとかぞくなんて、シオンはずかしくてそとあるけない!!」

「こんなの!?」

「シオン、その辺にしてあげて……?ハクリさん泣きそうだよ?」

「なくな、うざい」

「シオン!!」


止めてくれるな、わた。
俺、今日はこいつを徹底的にぼっこぼこにするって決めてんの。
だからお願い、俺を抱き上げて拘束しないで。まじで。俺の足ぷらんぷらんしてるんだけど。


「ハクリがパパで、わたがお兄ちゃんみたいよ」

「このさいわたがあにきなのはみとめるけど、こいつがパパとかみとめない」

「……反抗期か?シオン」

「けんおだよ、パパ」


何こいつ、タフ過ぎる。
一生で一度のパパ呼びしてやった。……うん、もう二度と呼ばない。
これが反抗期だったら俺の前世の反抗期っていったい何だったの?
鼻で笑い飛ばせるくらい軽かったわ。


「シオンはいっしょうけっこんできないとおもう」

「えっどうして?シオンだったらきっと素敵な旦那さんが出来るよ?」

「そういうもんだいじゃない」

「シオンをどこのギャロップの骨とも知れない奴の元になんか嫁がせてたまるか!!」

「てめー、ろんてんずらしてんじゃねーぞ」


お前ら知らないからそんなこと言えんだぞ?知ってるか?知らないよな?
俺はね、元男なの。男子なの。大和魂なの。最後何か違うけどそうなの。
つまりね、男なんて恋愛対象じゃないんだよ。柔らかくないし。
いくら素敵だろうが野郎とちゅーなんて出来るか。
ていうか今日、ギャロップの登場率高くね?何でシンクロすんだよ、嬉しくない。


「けっこんするならシオン、ミロがいい」

「「「え……」」」


もう面倒くさいから本音言ってみた。
どうせこのくらいの年の子どもなら言っても大した問題にもならないだろう。
って思ったんだけど、何で野郎二人はそんなに絶望の表情なんだよ。
ミロはそのままでいてください。嬉しそうな顔超ふつくしい。


「……そうね、シオン」

「「「え?」」」

「安心してシオン、シオンのことは私が守るわ」


え、何々どうした何が起こった。
今までこう言う冗談めいたこと、ミロはいつもさらっと流してたぞ。
どうしたのミロ、どんな心境の変化があったの。
……あれか!俺がミロの不安取り除くようなこと言ったからか!!今までしてた遠慮がなくなったのか!!
それはそれで嬉しいけど、ミロさん!そのままいったら俺たち確実にやばい方向に転がります!!


「シオン、ミロはいったいどうしたんだ…」

「……にくたいてきレズもちょっと、あぶないよな」

「シオン!?そんな言葉どこで覚えてきたの!?」


前世です。
取りあえずあれだ。
ミロがうっかり百合の道に転がらないように、かつ俺の愛がちゃんと届くように頑張らなきゃ。
……何この、絶妙な匙加減。俺に出来るかな。
やるしかないのか。何よりも俺とミロの世間体のために。


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