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一対の瞳が、わたしを見おろしていた。
透き通るような、きれいなきれいな瞳。
湖の色をそのまま閉じ込めたかのようなその瞳は、ただただわたしを見おろしていた。
ふわりと漂う仄かなひかり。
淡い粒子はあっちへこっちへ好き勝手に動き、ぱちんと弾けて消えていく。
消えゆく飛沫に、痛いほど胸が締め付けられるのは何故なのだろう。
掴めない光彩にそっと手を伸ばす。
指の間をすり抜けていくそれらを見送り、じっと見おろす瞳を見つめた。
ぱちりと瞬くように、電流のような衝撃。
すうっと、息を吐く音がして。
そしてまた、辺りは静寂に包まれた。
わたしはだあれ?
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