至上主義 | ナノ





「…ッたく」
「駄目、やだ…っ」

「お前が悪ィ」
「だって…っ、あ、」

「あーホラ出しちまえ」
「やめ、擦んないで…ほんとッ、」
「良いから」
「やだやだ無理…っ!んっ」



「ホラ、」


「我慢すんな」


「?」





 あー…エロい、





「気持ちわる…」





 ──のは、会話だけ。



 しゃべってる途中で何かせり上がってきたらしい(その何かはコイツの名誉のために伏せておく)、両手で流しの縁を掴んで勢いよく顔を下に向けた?──もとい瀞霊廷きっての酒豪。



 その酒豪は今、宴の席を抜け出して厠で吐き気と戦っている。



「あーくそ、苦しー…」
「くそとか言うな」
「…斑目もうあっち行ってよ」
「俺ァお前の面倒見てやってんだよ」


 会話だけ聞いてりゃちょっとエロいから俺はこっそり楽しんでたのに、初めて酒に負けたらしい?は不機嫌さが勢い余ってだんだん昔みてぇな口調に戻りだしている。


 おかえりパーティーと掲げてはいるもののいつもの面々が集まっちまえばそれはただの飲み会だった。

 まぁ今じゃ「姫」なんて呼ばれて十一番隊以外でも猫のように可愛がられてる?が主賓だからか、いつもの飲み会より格段に騒々しい気はする。
 さっき?を連れて座敷を出ようとしたときも、抜け駆けは許さねぇだの俺の?を返せだの無駄に絡まれ、?の具合が良くねぇだけだと全員に説明するのにどんだけかかったことか。

 だが最終的に騒ぎの矛先は檜佐木に向いた。


「…早いとこ戻らねぇと後が恐ェぞ」
「何それ」
「?が酔うのなんて見たことねぇから大騒ぎなんだよ」


 十番とこの副隊長も酒豪だが?はちょっと種類が違って、いくら酒を浴びても顔色ひとつ変えない。
 それが今日はこんな状態にまでなったもんだから、?が酔うはずないだろう、ありゃつわりだ何だと無茶苦茶な憶測が広まり、檜佐木とっ捕まえて尋問が始まったわけだ。


「今ごろ檜佐木は死んでるな」
「…は?」
「お前を妊娠させたらしいからな」
「…はぁ?」 意味わかんない、?はそう吐き捨てて豪快に口をゆすぐと顔を上げた。手の甲で気だるげに口元を拭う仕草が、さっきのこともあってかやけにエロく見えて落ち着けねぇ。
 いつもは難なく耐えられるアレな衝動に、俺は酒の勢いだと自分に言い訳しつつ身を任せてしまった。


「?、後ろ向け」
「何…え、ちょっとほんと、なに」


 さっきコイツが吐いてるとき(あ、言っちまった)してやってたみたいに、肩をするする流れる長い髪を手にとってひとまとめにしてみる。



 ──…ああ、ほらな。



 細くてやたら真っ白いうなじが現れて、今度はもう簡単に我慢が利かなくなっちまう。


「斑目」
「…あァ?」
「なにしてんの」


 振り向こうとする?の頭を後ろから押さえつけながら、俺は酒で火照ったうなじに遠慮なく舌を這わせた。


「ちょっ…と、んッ──やめてよ」
「いつも檜佐木にだけイイ思いさせてやってんだ、たまには良いだろうが」
「…何かおかしくない、それ」
「オラ前向けって」
「や、だ…ってば!」


 ?がどうやら本気で暴れだしそうだったから、最後にきつく吸い付いて痕を残してやった。


「檜佐木に見せてやれよ、」


 赤く浮き上がったそこを指の腹でなぞってたら、趣味わる…と溢した?に一発ガッツリ腹を殴られ今度は俺が吐き気を催す番だった。











まさかのげろネタ、たいへん失礼いたしました。
何書いてんだろうわたしと思いつつ微えろに逃げる最悪な展開…
もうお気付きの方もいらっしゃるでしょうが、わたしアレだねSとツンデレの区別がつかないね。

至上主義の斑目はいつもお兄ちゃん的役割ですが、酒入ったときくらい良いだろ的な下心は常にあります。
?ちゃんは、たまに本性見せる斑目にドキマギしちゃって本来のSっ気がどこか行っちゃう、みたいな!(←必死)

 





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