あの人から手紙が届いた。 でも私にはそれを開けることができなくて、あれから、あの日から一週間経った今日ようやく、机にぴらりと置かれたままの薄い封筒とこうして向き合ってる。 それにしても、よく無事に届いたと思う。 だって汚い字で書かれているのは私の名前だけ。笑っちゃうよ、ほんと。 もう散々泣いた。 後悔もたくさんした。 でもね、やっぱり思うの。 こんなことになるなら、意地張ってないで見送りに出れば良かった。 ああそれより、行かないでって引き留めれば良かった。好きだよって。だから行かないでって。 もう遅いけど。 私はペーパーナイフを掴んだ。 出てきたのは真っ白な便箋と、きらり光る小さなわっか。 元気にしてるか? まだいつ帰れるか分からないから、 先にどうしても渡しておきたい物が あるんだ。 要らなかったら質にでも入れてくれ て良い。でもおれは 死んでも外さないから 真っ白い便箋、永遠を誓う指輪 次に会えたらあんたが付けてよ |