最後の試験は翌日改めて行われるらしい。
自分達の授業を終えたナマエとドラコは、フィオレと共に仮の家に向かって歩いていた。
夕食の時間までのんびりとした時間を過ごすためだ。


「もうすぐクリスマスですね」

ナマエのポツリと呟いた言葉に、ドラコも頷いて答える。


「君は休暇、家に帰るのかい?」
「はい、そのつもりです。あ!フィオレってその時どっちが」
「ナマエ」

突然真剣さの滲み出したドラコの声に、ナマエははっとして息を飲んだ。

「クリスマス休暇の頃には………この企画授業は終わってる」
「……そうでしたね」

企画授業の終わりは、フィオレとの別れ。
考えないようにしていたことを思い出されて、ナマエの気持ちは深く沈んだ。
それはきっと彼女だけではない。誰もが考えつつ、口にしないようにしていることなのだ。


「………ナマエ」
「大丈夫です……。ドラコ」
「君は嘘が下手なんだ。つかなくていい」

ドラコはナマエの手を引き、行き先を変えることにした。
自分で歩きたがったフィオレは小脇に抱えられ、それはそれで楽しんでいる様子である。


「ドラコ、どっ、どこへ」
「人目につかないところに行く」
「!!なっ、なんでですか?」

ナマエは真っ赤になって聞きつのる。言葉尻は小さくすぼみ、ほとんど消えかかっていた。
ドラコはナマエの手を握る力をぎゅっとこめて振り返る。ふざけても、からかってもいない。彼の表情は真剣だった。


「今から僕は、君が悲しいのを全部忘れられるようなことをする」

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