「それでスーザンったら、彼女のパートナー、スリザリンのマリウス・コーナー……分かるかしら?あのチリチリ髪の毛の男子。その子と大喧嘩して昨日借り家を飛び出してしまったみたいなの」

「じゃあスーザンは昨日グリフィンドールの寮に戻ったんですか?」

「あら、ナマエ、いいえ違うのよ。戻ろうにも戻れないわ。私達三年生の寝室には人避け呪文がかけられているんですもの」

「あ、そうでしたね……じゃあスーザンは一体どうしたんですか?」

「仕方なく大広間で机に伏せて眠ったんですって。屋敷しもべ妖精達がたくさん毛布を用意してくれたから寒さはしのげたらしいのだけど…まだ仲は険悪みたい」

「早く仲直りできればいいですね……そういえばハーマイオニー、昨日の魔法薬学の宿題なんですけど

女の子達がおしゃべりに夢中になっているその向かい側では、ドラコ、そしてハーマイオニーのパートナーであるマッドが難しい顔をして手順の羊皮紙を見つめていた。
他のテーブルでも同様、子供を膝に乗せた男子生徒達のほとんどが、何から手をつけていいものかと考えあぐねていた。


@まず「鉛筆」を用いてママの顔を下書きすること。
(間違えてしまった場合は、「消しゴム」、または「パンくず」を用いて鉛筆の線を消すこと)


「………マルフォイ、鉛筆って何だ?」
「僕が知るはずないだろ。大体、何でパンくずがあるだ?」
「……おい、食べるなジャック」
「ぅぁ……?」
「フィオレ!その、……毛のついた棒を置くんだ!」

ナマエとハーマイオニーはおしゃべりを止め、すっかりお手上げ状態の男の子二人と、パンくずを頬張るジャック、絵筆を振り回しているフィオレを見つめた。


(ねえナマエ…私達、気をそらすためにおしゃべりしていたけど……やっぱりあの二人にはアドバイスをしてあげた方がいいと思うわ)
こっそり囁くハーマイオニー。
(それはそうですけど…)
ナマエは心配そうに教師陣のテーブルを見た。

「……待って。そうよ、校長先生が禁止したのは、絵を見ることと、画材の指定だけだわ!」

ハーマイオニーはひらめいたように頷くと、くるんと体をこちらに向けた。

「ねえナマエ、あなた、鉛筆とシャープペンシルだったらどちらが使いやすいと思う?」
ナマエはすぐにハーマイオニーの狙いが分かった。ドラコ達が顔を上げる。

「私は鉛筆ですね。いちいち削って研がなきゃいけないのが手間ですけど、書きやすいから……ああ!ドラコ、それは」
カッターです!
と上げたはずの声は音にならず、パクパクと口だけが動く。

「きっと今のは「画材の指定」に含まれる行為になったんだわ。消音呪文がかけられてる…。」
ハーマイオニーが試しに鉛筆に手を伸ばしてみると、目に見えない壁に遮られてしまった。

「これは思ったより頭を使わなければならないわね。ルールの穴を見つけなきゃ」

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