「…………僕は、マグルが……好きじゃない」
しばらく沈黙していたドラコは、クレヨンを睨みつつ、一言一言噛み締めるようにそう告げた。
「し、知ってますよ?……ドラコ」
「でもそれは、君がどうとか、そういうことじゃないんだ。つまり、僕はマグルが嫌いだけど……それが、君や、君の家族なら、僕は好きになる努力をする、つもりだということだ」
この上なく小さな声だったけれど、私はもちろん、隣のハーマイオニーにもその言葉は届いていたらしい。
「驚きだわ!」
と私にだけ聞こえる声でそう告げた。
私はにっこりと微笑んで、「分かってますよ」とドラコの手に触れた。
「あなたが私に意地悪だったのなんて、それこそ初めて会ったあの時だけですもの」
「う、……」
「それからはいつだって、私の気持ちを尊重してくれました。それに、きっといつか、ドラコはわたしたちのことを今よりずっと好きになります…きっと」
「……ナマエ」
ドラコの目がそっと優しくなる。
「………おい。そろそろ恥ずかしいんだが」
「!!」
「ほんとよ、ナマエ、ごちそうさまだわ」
「!!」
二人が揃って顔を赤くしたのは言うまでもない。
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