煙が晴れたと思ったら、妙に体が重たく感じた。何だ、この倦怠感。まさか石にでもされたんじゃないだろうな。

しかし現実はそんな生ぬるいものではなかった。



「何だこれ!!!」


叫んだのは僕だけではない。
そこら中から聞こえてくる。当たり前だ。――僕らは皆動物にされてしまっていたのだ!

「お、おまえマルフォイだな!」
「誰だお前は…!薄汚いドブネズミめ!」
「スキャバーズをバカにするな!」
「お前のことだウィーズリー!!」
「僕が誰か分かってるじゃないか!」
「二人とも、喧嘩してる場合じゃなさそうだよ」
「…」
「…」
「………何?二人して。僕が誰かわかるでしょ?」
「………ハリー?」
「そうだよ」
「何だその格好」
「知らないよ。僕自分がどんなかよく分かってないんだけど」
「ウサギちゃんだよハリー…」
「え!?僕ウサギなの?」
「しかもピンクだぞ」
「ぴ、ピンクだなとは思ってたけど…なんで僕だけこんな…」

赤い毛玉みたいなドブネズミと、どギツイピンクのウサギに両脇を挟まれて僕は眩暈がした。何だこれ気色悪い。ダンブルドア絶対殺す。


「男子生徒諸君。これは試験の一環なんじゃ。少々我慢していてほしい」

知るかくたばれ

「なお、今居る場所から動き回るのは禁止じゃ。大人しく赤ちゃんが自分を見つけ出してくれるのを待っておるように」

そう言えばさっき、この中から僕らを見分けろとかなんとか言ってたな。
赤ん坊にそんな真似できるわけないだろ。

というかここにあの怪物(このサイズからしてみれば)共を来させるつもりか?あの何でも口に入れる怪物を?オモチャと分かれば飽きるまでこねくりまわすアイツ等を?

正気の沙汰じゃない。

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