「諸君、集まったかな?」

長机などを取り払った大広間に、生徒と赤ん坊たちが集められた。――そう、今から試験が始まるのである。


「おいおい、何で君が緊張してるんだ」
「き、きんちゅ、」
「…」
「…してません。」
「してるだろ」

舌を噛んで涙目になるナマエに微笑みを向け、ドラコは腕の中のフィオレを抱え直した。

「フィオレとドラコが落ち着き過ぎなんですよ」
「フィオレ聞いたか」
「ぁう?」
「母さんはお前の実力を疑ってるみたいだぞ」
「ぅー!」

不満そうなフィオレに、ちがいますよ!と必死で言い宥めるナマエの頬は赤い。
ドラコの発言が少々彼女の心臓を驚かせたのは明らかだった。



「揃ったようじゃな。」
最期の一組が大広間に入ったのを見届けて、ダンブルドアは大きく頷いた。壁際に並ぶ教師陣達の表情はどれも微笑ましいものだ。(スネイプただ一人を除いては)


「それでは、始めるとするかの」
腰を上げたダンブルドア。

「まずは、男の子達。前に出てくるのじゃ」

ナマエと顔を見合わせたドラコは、腕の中のフィオレを彼女に託し、言われるまま前方へと移動した。





「なあ…何をやらされるのかな」
「臆病な声を出すな。ウィーズリー」
「出してない!」
「いいや、出してたね。怖いのかい?グレンジャーに助けて貰えよ」
「お前こそ、ナマエの前で大恥かかないように気をつけろよ」
「気安く彼女の名前を呼ぶな」
「言っとくけど、ナマエはお前のものじゃないぞ、マルフォイ」
「僕の恋人だ」
「君の恋人になる前から彼女は僕らの友達だ」
「だから何だ。言っとくが、アイツは友達多いぞ!お前らだけじゃない」
「僕らが一番だ!」
「いや今は僕だ!」


「………止めないのか、ポッター。」
「うーん。まあ、二人とも本気じゃなさそうだから」
「…」
「君、ハーマイオニーのパートナーのマッドだよね。」
「ああ。」
「ハーマイオニーから話を聞くんだ。静かだけど、だから落ち着くって」
「…」
「(あ…少し嬉しそうだ)」
「俺も、聞いてる」
「何を?」
「お前達のことを」

マッドはそれだけ言うとハリーから離れた場所に移ってしまった。
彼の言う『お前達』には、きっとナマエも、もしかしたらマルフォイも含まれているのかもしれない。


「………もしかして、」
この企画授業には、僕らの考えるよりずっと深い意味があるのかも。
ハリーはそう思考して、ひとまず気合を入れなおした。ダンブルドアの考える目的に、少しでも自分が近づいて成果を見せたいと思ったのだ。


「しねこの腹黒イタチ野郎!」
「こっちの台詞だこの赤い毛玉め!」

「…君らまだやってたんだ」




「準備はよいか?諸君」

真上から落とされたダンブルドアの声に、生徒達は顔を上げる。ダンブルドアの杖が指揮を取るように鮮やかに振られ、瞬く間に彼らのいる場所は煙に覆われた。


「ド、ドラコ…!?」
煙にまかれたパートナーの姿を確認しようと目を凝らす女子生徒達。白い煙が晴れて、視界が良くなった時、彼女達はとんでもない光景を目にすることとなる。

「ど、動物!?」
さっきまで男の子達がいた場所に突如現れた動物達。
それが彼らであると気が付くのに、かかった時間はそれなりであった。

「さあ、赤ちゃん達。この中から君らのパパを見つけ出すのじゃ!」

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