廊下を渡り終えたところで偶然、ナマエに会った。(今の…聞かれたか?)

「ナマエ」

「ドラコ!」
驚きに丸まった目を見て、安心する。どうやら何も見ていないらしい。

「今探しに行こうとしていたんです」
「…そうか」
「どうかしたんですか?」
「…。」

この感情が、ひとときのものだというなら。

「、!」
「……僕の傍にいろ」

この腕の中の、あたたかいものが、まやかしだと言うのなら。


「……ずっといろ。」



腕の中で身じろいたナマエの腕が、そっと背中にまわる。ドラコの背中をとんとん、と優しく撫で始めた。母親のように。

「いますよ。ずっと

 ドラコがわたしを必要としている限り。」

――じゃあ永遠だな。そうなんだな。
確かめそうになったドラコの身体を、ナマエが優しく突き放す。ドラコが顔をこわばらせたのと、ナマエが彼の手を引いて歩き始めたのは同時だった。


「、フィオレは今…ハリー達の子供達と広間であそんでいるんですよ」
「…」
「鬼ごっこはさっき…終わったから、今は、アティと一緒にお歌を歌ってて」
「ナマエ…」
「音程は外れているけど、でも、うまくて…」
「……ナマエ」


「お前、聞いてたんだな…。」

ドラコがそう言えば、ナマエはぴたりと足を止めた。手を握る指先から震えが伝わってくる。



「………っ」


振り返ったナマエが、ドラコの胸に飛び込んだ。
それを受け止めながらドラコは、笑いたいような、泣きたいような、そんな妙な気持に駆られたのだ。

「ごめんなさ、い…!」

「…なんで君が謝るんだ」

ナマエは口元を手で抑えながら、涙をポロポロと溢した。

「ドラコが、きらわれてしまう、っのは…いや、なのに……、」



「皆思ってます
――企画授業が終わったら、きっと別れるだろうって」


「もし、この先上手くいかなくなって、先輩があの人にフられたら、先輩はただの…ッスリザリン寮の笑いものです!」


「私はずっと先輩を好きでいつづける自信があります!家も代々続く純血だし。マルフォイ家の方との交流もある……」


「――あの人と、別れてください!!」




「どうしても…―――っそばに、いてほしい…!!」


わがままを言ってごめんなさい。
でも、ここにいてほしいんです。
ドラコがそう思ってくれているよりも、もしかしたら、…わたしの方がずっと


「……うぅ、どうじてわらうんです…?」
「、ハ…いや…悪い。嬉しくて」
「わ、わたしこれでも真面目に言っているのに」
「分かってる。」

ドラコはナマエを抱きしめる腕に力を込めた。


「嬉しいんだ。」
「…?」
「君が、これから先も、僕から離れそうにないから…。」

ドラコは思った。

この感情が、ひとときのものだというなら。
この腕の中の、あたたかいものが、まやかしだと言うのなら。

――それでも構わない。
僕らにとってそのひとときは永遠で。そのまやかしは、限りなく真実なのだから。

「…好きなんだ。本当に」

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