静正

「――軽い、な」

不意に、平和島静雄がこぼした呟きに、今までテレビへと向けていた視線を彼へと移し、紀田正臣は首を傾げながら聞き返した。「何が?」
平和島は、「いや」とゆるく頭を振った後、躊躇いがちに言葉を続けた。蓄音機と化したテレビからは、『今世紀最大の純愛ストーリー!』という謳い文句が売りの、イマドキの恋愛ドラマが流れている。

「大したことじゃねぇんだが」
「そんなこと言われたら余計気になりますって。何すか?」
「…あの、」

ちらりとテレビに視線を遣った平和島につられるように、紀田も其方へと視線を移す。丁度、主人公役の俳優がヒロイン役の女優を抱き締めているところだった。感動を誘うようなメロディーが流れる。時間的に、どうやらこれがクライマックスらしい。

「ドラマのよ、告白シーンってやつか? さっきの。その言葉だよ」
「軽いのが?」
「ああ」








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途中放棄


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