休日デート

高杉×沖田






待ち合わせ場所に着いたのは、約束していた時刻の30分程前だった。
当初はお互いに解り易いと云う理由から選んだその場所が、幾度となく会うことを重ねていく内に自然と待ち合わせの定位置となった。その定位置である公園内に居座る然程大きくもない噴水の目前に設置されたベンチに腰掛けながら、誕生日プレゼントにと恋人から贈られた腕時計へと視線を向ける。

時刻は10時少し過ぎ。
約束の時間は10時なので、もうそろそろだろうと時計から目を離し、辺りを見渡そうと顔を上げたところで、丁度待ち人の姿が目に入った。ぱたぱたと走りながら少々焦った様相で此方に向かって来る姿は、何とも健気で可愛らしい。

「すいやせんっ」

待ちやしたか、言いながら肩で息をする恋人の背中を摩ってやりながら顔を緩く横に振ると、安堵した表情で良かった、と小さく微笑んだ。

「昨夜は遅かったのか?」

待ち合わせ時刻の30分前には必ず定位置のベンチに座って俺の到着を待っているのが常だと云うのに、今日は一体如何したことか。
そう思って訊ねると、年下の恋人は恥ずかしそうに目線を下方に彷徨わせながら、小さな声で問いに答えた。

「高杉さんとデートなんて久し振りだったから、その…、緊張して中々寝付けなかったんでさ…」

御蔭で寝坊しちまいやした、控えめに笑いながらそう続ける彼に愛しさが込上げてきて、頭をそっと撫でた。寝癖なのだろう、多方面に跳ねた髪をそっと指で直してやりながら、その柔らかな髪を堪能する。久方振りに触れるそれは相も変わらず滑らかで、触れていて気持ちが良い。

「…高杉さん、何時までやってるんですかィ」
「ああ、悪い」

流石に照れが回ってきたのか、総悟から批難の声が上がる。もう少し触れていたかった、思いながらも仕方なしに手を止めると、途端、その手を掴まれた。かと思えばきつく握られ、挙句の果てにはそのままぐいぐいと引っ張られる。早くしないと映画始まっちゃいやすよ、などと言いながら腕を引く恋人が余りにも嬉しそうなものだから、まあいいか、とされるがままに彼の後に続いたのだった。





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続くかは不明^^


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