親友



「玲……だと?」
「玲殿……、薬師……の!?」

土方、近藤は彼女の成長ぶりに驚愕し、正座しているその姿を上から下まで何往復も見返す。

「あぁ、その玲だよ。……改めまして本日から真選組特別医療隊隊長を勤めさせていただきます星原です、よろしくお願いします」


星原は微笑んで、部屋にすっと入り、姿勢を正してゆっくりとお辞儀をした。
そんな星原にしかめっ面の土方が問う。

「随分女らしくなったが、剣の腕は鈍ってねぇだろうな?」
「愚問だよ、トシ」

フンッと星原は土方のその発言を鼻で笑う。

「なら問題ないと思うが……。近藤さんアンタはどう思う」
「うん、玲殿なら全く問題ないだろうな、昔から男勝りだし……。それにしても、本当に綺麗になったねぇ……なぁ総悟?」

近藤は土方の言葉にうんうん、と頷いた後、相変わらず不機嫌そうな沖田に話を振った。

「綺麗だァ?いや、ありえねぇでしょィ。玲姉はがさつな女以外の何者でもねぇでさァ」
「おい、総悟!そんなことねぇだろ!」
「……総。何をそんなに怒ってるの。ミツバの御葬式にいかなかったからか?」
「……そうでさァ。実家を出ていったきり一切連絡はしてこねぇし、万事屋の旦那に頼んで、やっと所在地探し当てて、姉上の危篤も訃報も送ったっつーのに、一切連絡がつかねぇ。かと思えば、今更ひょっこり出てくるたァどういうことでさァ!?」

星原は沖田の悪口にも対して動じない。
ただ苦笑いしながら、沖田の言葉を聞くだけだった。

「……うん。そうだな、とりあえずミツバの御葬式にいけなかったのは、私が宇宙にいたからだ。悪い。……訃報の便りもついこの間貰ったんだ。たぶん宇宙飛び回っていたから、手紙自体が迷子になっていたんだと思う」

そういうと星原は少し目を伏せる。
そしてこう続ける。

「まだ、信じきれていないのが現状なんだ。だから、本当にごめん」

その美しい瞳から一筋の涙。
ミツバのことを大切に思っていた人間。
そしてミツバが大切に思っていた人間。
会わずとも親友という立場で、共に支え合っていた二人。
星原の涙がそれを証明していた。


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