湯上がり



一方、風呂の外では沖田が隊士を片っ端から追い返していた。

「沖田隊長、なんで入っちゃダメなんですか」
「ダメっつったらダメなんでィ」
「おい、なにやってんだ、てめぇら」

また一人、隊士を追い返そうとしていると、風呂の用意をした土方が隊士の隣に立っていた。

「チッ、さっきまで潰れていたくせに土方コノヤロー」

どこから出したのか、沖田の肩に構えられるバズーカ。それが土方に向けられ、今まさに火を吹こうとした。

「なにやってんの一体」

ふいに声がかかる。
沖田が振り向くと、少しだけ眉間にシワを寄せて首を傾げている星原がいた。その姿を見て、そこにいた全員が赤面し、固まってしまう。
少し湿った黒髪、その間から見える白い首筋、湯上がりで上気した頬、緩く着た寝間着からチラチラと覗く艶やかな肌。
そのすべてが色っぽく、男心を刺激するには充分すぎた。

「……っ」

沖田が突然星原の手を引っ張る。
早足で星原を引き摺るように歩いていく。

「総?」

星原が困惑した表情で声をかけると、沖田は歩きながら怒ったような口調で口を尖らせながら言う。

「玲姉は自分が女だっていう自覚が無さすぎでさァ」
「……ん?あ、あー、そういうことか」

彼女はそれを聞き、納得したようにニヤリと口を歪めるとこう言った。

「要するに、色っぽかったと」
「!?」

沖田は真っ赤な顔で振り向くと、口をぱくぱくさせる。その様子を見て、星原はごめんごめんと沖田の頭を撫でると、部屋に戻っていく。

「玲姉……。自覚あるならもう少し気を使ってくだせェ……」

その後ろ姿を目で追いながら、沖田はポツリと呟いた。

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