「あぁぁっ!玲殿と総悟が間接キッスしてるぅぅうううっ!」

沖田が梅之華の美味しさに驚いていると、突然後ろからそう叫び声が聞こえた。二人が振り向いて顔を見合わせ、苦笑いする。後ろでは、全裸の近藤がとても慌てていた。

「いや近藤さん、とりあえず落ち着こうか」
「いや、しかしだな!間接キッス……」
「そりゃ普通の男女なら騒ぐ気持ちも分からなくもないけど」

慌てる近藤に呆れ顔で星原が言う。

「弟だからな?弟。間接キスくらいするよ」
「そ、そうだよな、うん。すまん、呑みすぎたのかもしれん……」

きっぱり言い切って近藤を落ち着かせる星原に、全裸のまま謝る近藤。沖田はその様子を少し拗ねたような表情でじっと見ていた。

「……ただの姉でさァ」

弟。胸に何故かチクリと刺さった言葉。自分自身それがどういう痛みなのか分からない。
沖田は誰にも聞こえない声でぼそりと呟く。そしてふいっと身を翻すと、広間から出ていってしまう。

「全くもう……」

沖田が広間から出ていったのも知らず、星原はなんとか近藤に服を着せ、ぐでんぐでんに潰れている隊士たちを部屋に返し、ふぅっとため息をついた。

「片付けは明日でいいか……」

まだ空いていなかった酒瓶を一つ取り上げると、彼女は部屋戻る。

「……とりあえず風呂だな。銭湯いくか」

屯所の風呂は男風呂しかないため、星原が風呂にいく場合、近くの銭湯に行かなければならない。ごそごそと銭湯へいく準備をするが、ふと時計を見ると針が11時を指していた。

「銭湯……開いてないよな」

星原はどうしよっかなーと頭を掻く。
もうシャワーだけでも、さっさと浴びて寝たい。
そんなことを思いながら、星原は、はぁぁと深いため息をついた。


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