その日は突然のどしゃ降りに見舞われた。

昼間には生徒がサッカーやバレーをして遊んでいた校庭も、大きな水溜まりが沢山出来ている。
それらを踏まないように傘をさし走って帰る生徒や、迎えに来た車に乗り込み帰って行く同級生を見てカイルは溜息を吐いた。

「天気予報見とけばよかった……」

いくらリュックに手を突っ込んでも、あるのは教科書類と友達から借りた漫画、それから弁当箱で今最も欲しい折り畳み傘はなく、うなだれて最後の頼みの綱である携帯を引っ張り出して数秒、頭の隅に今朝の会話が過ぎる。

「……そうだ…今日父さんも母さんもいないんだった!」


prev - next
back
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -