カイル君に言わせてみたい台詞 ■ジュカイ 「ジューダス」 妙に凛とした声が、僕を呼んだ。 今夜最初の見張り番だったジューダスが焚き火をぼんやりと見つめていた時、唐突にあの寝たら簡単には目覚めないカイルが起きてきてジューダスはぎょっとした。 「…どうした、眠れないのか?」 まさか寝ぼすけに「眠れないのか?」と聞く日が来ようとは。 しかし、カイルは不気味なくらいに澄み切った目でジューダスを見下ろし、背筋をしゃんとさせ立っていた。 「どこか具合でも悪いのか…?」 「ジューダス…」 何とも言えない切なげな声を出すカイルを怪訝に思い、ジューダスは同じように正面へと立ち再度どうかしたのかと聞いた。 すると、急に包み込むように手を握ってきたカイルにジューダスの瞳は、仮面の奥で揺れ動き唇が勝手に薄く開いた。 「オレ、バカだから難しい事よくわかんないし、頼りないと思うけど」 切羽詰まったカイルの声色と言葉。 「でもっ…苦しい事受け止めるから、だからさ……ジューダスの全部、…オレに教えてくれる?」 紡がれた言葉に、僕はどんな顔をしていただろうか。 仮面を被っていて心底良かったと、ジューダスはだらしなく歪む唇をきつく結びつけた。 ■リオカイ/TOW2 目標の数を採掘し終え、モンスターと戦いながら坑道の出口へと向かっている最中、どこか落ち着かない様子のカイルを捉えリオンは眉をしかめ足を止める。 同行していたルーティもそれに気づいたようで、どうかしたの?と歩いて来る。 「おい、何してる?早く帰るぞ」 「わ、わかってるよ!」 リオンの厳しい声にカイルは圧されて歩き出すも、その進みはいつもの軽快さはない。 いつもだったら「よしっ任務完了!」だとか「腹減ったー!!」だのうるさすぎるカイルが、恐ろしい程静かだ。 「なぁに?あんたらケンカでもしたの??」 「えっ」 じわーっと流れる何とも言えない空気に堪えかねたルーティが一際大きな声を上げ、バシバシと笑いながらリオンの背中を叩き始めた。 「、やめろ!」 「分かったわ。私先帰るから」 ルーティはそんな事を勝手に言い、リオンの持っていた採掘袋を取り上げさっさと出口へと行ってしまった。 「そんじゃ、報酬は全部いただくって事で!」 そしてやはりルーティらしい去り方だった。 そんな彼女に冷めた目を送りながらリオンは溜息を吐いた。彼女にも、いまだに様子のおかしいカイルにも。 「……さっきから様子がおかしいが…僕に何か不満でもあるのか?」 身も蓋もない棘のある言い方だが、慣れているカイルは違うと首を振り、頬を掻いている事からカイルが照れているのだと分かり、益々首を傾げた。 「………笑わない?気持ち悪いって、思わない?」 「…いいから言え。面倒くさい奴だな」 「…、まだ…リオンと一緒にいたいなぁ〜!……なんて」 ふにゃりとはにかみながら、そんな事を言ってのけるカイルにリオンの時は暫く停止した。 ■ジュカイ?リオカイ? 「クリームついてるよ」 ペロリ。 頬を指差され取ろうと思っていた僕の手よりも先に、カイルの舌が視界に映り驚く間もなく生温い感触が頬に触れた。 「おっお前……何してる!」 「なにって……なんかおいしそうだなって思って舐めちゃった」 あははっと悪びれもなく笑うカイルの額を小突き返す事しか、僕には何も出来なかった。 ■ジュカイ 「ジューダスのっ……好きにしていいよ」 ゆっくりと瞼を閉じ背中に腕を回すカイルの姿は、とても美しかった。 瑞々しい唇を指でなぞり、薄く開いた口からジューダスを誘うように微かに見える赤い舌に喉が鳴る。 「……本当に、いいのか?」 なんと情けない事だろう、ようやくベッドに組み敷いたというのに自ら台無しにするような言葉を吐くなんて。 「嫌だったらボッコボコにしてるよ。…だから」 早くしてよーーそうカイルが囁くと同時に頭を引き寄せられ、戸惑っていたジューダスもやがて静かに瞳を伏せ、己の欲が為すままに舌を絡ませた。 2014.3.14
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