似て非なる 


ツイブレにてやや捏造



「叔父さん!」

見かけた背中にそう叫ぶと、彼はギロリと目を鋭く細め振り向き、ブーツのヒール音を苛立ちを表すようにこちらに歩いて来た。

「しつこいぞ、僕をおじさんと呼ぶな!」
「いてっ!」

容赦ない拳骨に涙が浮かんだがリオンが反応してくれたのが嬉しく、カイルは上目遣いで見上げて笑った。

「何を笑っている?いいか?僕はまだ16歳だ。1つ下のお前に、おじさんと呼ばれる筋合いはない。分かったら二度と呼ぶんじゃない」
「あ、そっか…16歳だったよね。…ごめんなさい」
「…お前僕を幾つだと思ったんだ」

ついつい“いつも通り”からかってしまったんだ。

自分の元いた世界の“彼”はこの彼とは二回りも年上で、ちょくちょく『叔父さん』と言ってはからかって怒られていた。
違いと言えばこんな風に真面目に返さずとても口が巧く逆にからかわれて悔しかったな…と、カイルは目の前のリオンに悟られないように溜息を吐き、彼に思いを寄せて静かに笑った。

「おい…急に黙るな。気味が悪いぞ」
「!、あっ…ご、ごめん!」
「いや、別に謝らなくてもいいが…」

急に気まずい雰囲気が辺りに満ち、カイルは何だか逃げ出したくなり、一歩右にずれリオンに軽くお辞儀をした。

「オレ!リアラと出かけるんで…それじゃっ!」
「おい、待て!」


引き留めようと腕を伸ばしたが、逃げ足の早かったカイルはもう突き当たりを曲がる所だった。今更追うのも何だか気が引けて立ち尽くすリオンには、釈然としない蟠(わだかま)りだけが残りカイルの消えた廊下を見続けていた。見かけた兵士が肩を強ばらせる程の険しい顔で。






「…はぁ…っはぁ…」

リオンが追って来ないのを感じ、突き当たりの角で壁に凭れ呼吸を落ち着くのを待ちながら、大きな窓の外を見つめて虚しさが胸を覆い尽くした。

「……会いたいよぉっ…!リオンさん」

いっぱい皮肉を言って欲しい。
その優しい声で名前を呼んで欲しい。
抱きしめて、欲しい、のに

今はそうも言ってられない。
ここの世界を脅かすエルレインから聖剣エターナルソードを、リアラとヒューネガルドーそしてこの世界で生きる皆と守らなければいけない。…未来も。

「…オレ、頑張るから」

そっちに帰ったらいっぱい抱きしめてね?
リオンに届いてくれればいいと、カイルは空を見上げた。





何故、引き留めようと腕を伸ばしたのか。
その答えを見つける術はリオンにはない。

唯一つ、先程のカイルの顔が脳裏に焼き付いて離れず、行き場のない感情に苛々がリオンを更に苦しめていた。

自嘲するように寂しげに笑い、空を彷彿とさせる瞳を曇らせて、彼は何を感じ、何を思っているのだろうか?

多少は本人から事情は聞きスタンがカイルの世界では父親と知り、僕なりに配慮し2人の時間を作ったりマリアンとの茶会に、カイルを混ぜて無駄話をしたりと、初対面の頃よりは大分距離は縮まっていると思っていたが、それは勘違いだったようだ。

僕はあんな顔をするカイルなど知らない。
ましてや、その理由だってわからない。

きっとそれは僕が踏み込んでいい領域ではない。
頭では分かっていてもどういう訳なのか受け入れたくもなかった。
そして、そんな顔をさせる“何か”が気に入らずリオンは舌打ちをし、爪が食い込む程の力で拳を握り締めマントを激しく揺らして、ヒール音をけたたましく鳴らした。



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秘奥義の掛け合いから発展したリオカイ前提(ツイブレ)リオ→カイという(笑)

無自覚に嫉妬なるものを抱いて悶々するけど、まだ幼さのあるリオンはそれにさえ気づいてないって萌えます。


2013.5.24



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