赤黒い回想(グロ…め?)





カイルが、死んだ。

いや、“**された”が正しい。

僕は憎んだ。カイルを死に追いやった醜い彼奴等を、絶対に許すものかと。


今回の星人はスピードがこれまでと比べものにならない程高性能で、鋭く尖る数本の刃を空中で操るややこしいモノだった。

リオンとカイルは互いに星人から離れて間合いを取り、物陰でやり過ごしてタイミングを掴んでは、Xガンを放った。

それでもやはり仕留める事は困難で、じりじりとした空気が流れ始めた頃、1人の男が話を持ち掛けて来たのだ。
内容は“気色わりぃアレを囲んでXガンでギョーンしようぜ”という、誰でも思いつく単純だけれど息が合わなければリスクの高いもので、リオンと西はそれには当然乗らなかった。
そんな策が通じた例(ためし)はないと長い経験から分かっていたからだ。

――しかし、カイルは了承した。
やってみなきゃ分からないと、男に笑顔で賛同したのだ。
カイルだって今まで経験した筈なのに、どうして乗ってしまったんだと問い詰めてもカイルは考えを曲げずに、男とその仲間とともに協定を結び各々配置についた。

リオンと西の2人も人数の関係でそれぞれが与えられた配置につき、星人が稼働すると同時にXガンの射程を定めた。

その時だった。
カイルの隣にいた男がニヤリと笑って背中を押したのは。

星人の生態はガンツの説明で理解していたからこそ、リオンは瞬間手を伸ばした――が、そんなもの初めから無意味で仕組まれたものなのだと、カイルにどんなに手を伸ばそうとしても届く距離ではないと、気づくのが遅過ぎて、もう手遅れだった。

動くモノ―カイル―を標的とした星人の刃がカイルに目掛けて飛んだ。
その間秒数程度の筈なのに、僕には酷く長い時間に感じたのだ。

「――やめろッッ!!!」

叫んだところで無数の刃は止まらず無情にもカイルの身体を貫いた。

脚から腹、首、そして心臓と頭――全てを深く抉り込まれたカイルの身体は肌の色も判別不可能なくらい、夥しい赤に塗れた。

「よっしゃ!おめぇら今狙うぞ!!」

こいつらは、初めからカイルを囮に使うと仕組んでたんだ。

男達の嗤い声が、存在が、キモチワルイ。

もう動かなくなったカイルの身体は赤でぐちゃぐちゃで瞳は黒く瞳孔も開き、抱える僕を見ていなかった。

それから、何かが壊れた。リオンはゆっくり立ち上がりXガンを構えた。
西も歯痒くて悔しくて、リオンと同じく標準を男達に向けた。

「……ふざけンなよ」

どれも呆気なく終わった。
最後に残しておいたのは話を持ち掛けた男を、西はリオンに任せた。
命乞いしたッて俺は助けねぇよ、と鼻で嘲笑(わら)い飛ばした。

「…カイルがどれだけ貴様等を助けたと思う?初めからだ。だが、コレはない、…だろう?!」

“消えろ”

リオンはそう吐き捨てて、引き金を躊躇なく強く引いた。

“ギョーン”
その音とともに男の身体は四方に爆発し飛び散った。

だが、こいつらを**したとしても、カイルはもうガンツに転送される事はない。

「……僕はもう誰も信じるものか」

リオンは転送されゆく中、ずっとカイルを抱き締めながら嗚咽混じりに吐き捨てた。


――――――――――――
終わらせよう。
書いた本人が言うのもアレだけど、これは酷過ぎる……。

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