カイルは特にする事もない休日は退屈で仕方なかった。
実家にいたら施設のチビ達の世話だったり、父親と母親の仕事の牛の乳揉みを手伝ったりと暇な日はなく不自由のない生活だったが、ここでは家で留守番するか近所の散歩をするだけで楽しくない。

「…オベロン製菓ってどこにあるんだろ」

一瞬行ってみようかと思うも、絶対怒られそうだし道も分からないしで、カイルは即刻諦めた。

「早く春休み終わんないかなぁ……友達いっぱいつくりたいな…」

ふわふわしてくる眠気には逆らえず、カイルは瞼を閉じて少しだけと許可をとり眠りについた。





「…―今日の会議はこれで終わりだ。お疲れ」

収穫はそれなり上々だった部下のプレゼンテーションで新商品のイメージは大体固まり、次は後日という事でリオンは切り上げた。

「社長!提案なんですが……」

腕時計を確認してまだ夕食には間に合う時間だと安堵し、会議室からいち早く出ようとしたが1人の部下が大仰に手を挙げ視線が集まった。

「…何だ」
「もし良ければ……この後皆で食事でもどうでしょうか?」

あ、それいいわね!と同調する部下達を見回してから、リオンは困ったように薄く微笑んだ。

「…悪いが、断る。手のかかる甥が待ってるんだ」

もう1度改めて“お疲れ”と言って会議室を出て、社長室にある鞄を素早く纏めて駆け足でリオンはオフィスを後にした。

「……社長ってあんな風に笑うんだな」
「…失礼だけど私も思った……」

こんな会話をリオンが聞いたらどんな反応するだろうかと考えたら怖いものがあるが、マリアンはオフィスからだんだんと小さくなるリオンの背中を見つめて、柔らかい優しさに満ちた笑みを向けていた。



つい最近だったらきっと仕事繋がりとして行った食事会でも、家であいつが待ってるんだ。

今ではもう、ただいまと言えば“お帰りなさい”と返してくれる温かい家族がいるから。




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いろいろ燃え尽きた。
まだリオカイとはいかない+ないじらしい叔父甥愛な関係。




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