「トリックオアトリート!!」

荒々しく開けられた扉の音の次は喧しいカイルの声。
しかし、もうこの子どもじみたカイルの行動は毎年の事にもなっているから、特に驚きもせずにリオンは引き出しに忍ばせて置いた商店街じゃあまりお目にかかれない、高級チョコをあげた。

「ありがとう!」

きっとカイルにはこのチョコの高級さと良さは分からないだろうが、仕方ないからくれてやろう。
本当は自分用に残しておいた最後の1個だったとしても、だ。

「なんかこれ濃いね」
「…カカオが強いからな」

やっぱり舌がお子様の奴にはフレスヴェルグ一流ショコラティエの味は分からんか、あげて損した。

じっ。

「……何だ」

まだ何か言いたげな目がこちらを向く。
お菓子はあげたしこれ以上何を望むのか、リオンには少しばかりか嫌な予感がした。

「……リオンさんは、トリックオアトリート…してくれないの?」
「…は?」

誰がそんな事、と言おうと何気なくカイルに目を向ければ何かを訴えるような、物欲しげな切ない瞳があった。

これは言わなきゃまずいパターンだ。

「……トリックオアトリート」

乗り気じゃないリオンの投げやりのそれに、カイルは満足気ににっこり笑って―

「実はね、お菓子用意してないんだ」
「……は?」

では今までのくだりは何だったのか、全く意図が分からない。

「…だから、その……ね?」

今度はもじもじし始めた。今日はどうしたんだと心底心配になった。まぁいつもおかしいけど。

「…だ、だからさ!」
「焦れったい奴だな!早く言え」
「――イタズラして!!」

一瞬の長い沈黙を経てしばらく、カイルの頭がボンッと爆発したと表現するに相応しいくらいに顔が真っ赤になって、うーだのあーだの口走ってる。

「……お前、それはどういった意味のイタズラなんだ」
「そっ、そーいう意味、だよ!他に、何かある?!」

リオンの中でのカイル像は真っ白ピュアピュアで無邪気っ子だった筈な訳で、こんな頭を使う誘い受けなんかしない……そんなイメージ、というよりはカイルはそういう奴。
ならばこれは誰かに入れ知恵されたとしか考えは行き着かない。

それでも、やっぱり美味しいと思ってしまう自分もいる訳で。

仮に入れ知恵であったとしても、これを無駄にするのはどうかと思う。

「…だったらお前の望み通り、イタズラしてやる」

カイルの腰を引き寄せて、先ずは手始めにと深いキスをした。



「…っは、ぁあ!……も、ゃだ…ぁっ…」

苦しいと悶えれば悶える程、奥に突き刺さる刺激から腰を引こうとする度にカイルの身体は意に反して、それを求め吸い尽くしてゆく。
素直なようで素直じゃないいじらしい身体を包み込むように、リオンは自身と身体ごと沈ませて思いのまま貪った。

「…、誘ったのは、お前だろ…?」

絶え間ない甘い声を首筋に埋めながら聞き入り、耳朶を甘噛みすればカイルの手が腕や背中、ソファに行き交って何とも扇情的でもっといじめたくなる。

「ん、っんん、んあぁ…りお、…さ…っ…」

何かを乞うようにしがみついてきたカイルの細い首筋を、赤いリオンの舌がなぞった。

「…―甘い」


―――――――――――――
無理矢理ヱ口をぶっこんだ感じがひしひしと伝わってきて何かもう…;;;
甘いって何だよ;;

リクエスト頂いた日からかなり経ってしまい申し訳ないです;
もし良ければ受け取ってください…返品も可です!

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