「つまり、モンスターのガスに何か訳の分からないモノが含まれてたのねぇ…」

冷静。淀みなく冷静だ。

「で、元に戻す方法はないのか?」

カイル…否、中身リオンが腕を組んでハロルドに聞いた。
先程は彼も混乱していたようだが、今ではハロルド同等冷静だ。
本当のところは分からないが…。

「…ん〜この私にかかればそんな問題空の雲を掴めるくらいのもんなんだけどぉー」
「……だけど…?」

何だか嫌な予感がするが一応聞いておこうとリオン―カイル―が先を促せば、ハロルドはニンマリと笑った。

「こんな面白い事研究しなきゃもったいないじゃない!」
「言うと思った!!」

ですよね、そういう人だもんね。……間違えた。化け物か。

「人と人が入れ替わるという超常現象は絶対に有り得ないって事は有り得ないと思ってたのよ!いつか必ず調べてみたかったの、でかしたわよぉ2人とも〜!!」

ルンルンと場にそぐわない効果音とスキップをして意味不明な呪文を歌う姿に、科学室にいた全ての者が溜息を吐き出した。

「いやぁ〜しかし、あのリオン・マグナスがこんなに素直なのも、案外新鮮で良いですねぇ」

訂正、愉しんでる奴がもう1人いた。

「…………かわいい…」
「えっ、え?ティア、どうしたの??」

すっかり忘れていた。ここに可愛いもの大大大好きなクールビューティーがいた事を。
リオンの無駄に整った綺麗な顔+カイルの素直な性格がコラボして、彼女はこのまま愛でていたいのが本心なのだ。

しかし、カイルには新たな問題が降りかかっていた。

「……あうぅ…ティア、あの、当たって…るよ…」
「―おいメロン!貴様、カイルに色気を使うなぁ!!離れろおおお!!!」

カイルの可愛い羞恥の姿を他の人間に見せるのも癪だが、カイル(リオン)の本当の本当の気持ちは、デカいメロンに抱きしめられてる自分の姿が嫌なのだ。

「おやおやぁ…天下のリオンがティアのメロンに顔を赤くする日が来るとは〜ほんっと愉快ですね」
「違う!!ぼ、ぼぼ僕はっ……カイル、変な目で僕を見ないでくれ!!!」

周りとリオン(カイル)の哀れむ冷たい目がカイル(リオン)にこれでもかとビシビシ刺さる。

「…ふーん。リオンはやっぱりおっきい胸のがいいんだ」

まずい。カイルの目がこれまでにない程冷たく恐ろしい光を宿してる。

「な…何言ってるんだカイル。あんな戦闘時に使い道のないデカ物なんて邪魔なだけだ。僕は女の胸よりも控え目なカイルの胸の方が好きだから安心するんだ…な?」

悪かったわねデカ物で、や、そういう問題じゃないでしょと痛い主に女の視線がカイル(リオン)に突き刺さるが、そんなもの2人は気にせず。

「……ホント?」
「…あぁ、当然だ」
「ちょっぴり気にしてたんだ。やっぱりリオンは女の子がいいのかなって…」
「バカ。僕にはカイルだけだ」
「……リオン…疑ってごめんね?」

いいや、気にするなと柔らかいカイル―今はリオンだが―専用の笑顔を向け見つめ合うのだが。

「……………なんか落ち着かないなぁ…オレに見られてるの」
「………僕もだ」

いつもなら気持ちが高ぶってキスの1つや2つはするが、自分自身の顔にするのもされる勇気も湧いてこない。

リオンとしては今すぐにでもカイルを連れ去りキスしたいムーディーの流れだというのに、出来ないのがいじらしく苛々する。
生憎自分の顔で欲情出来る趣味はない。

「……お楽しみのところ申し訳ないのですが、いちゃつくなら余所でやってくださいね?」

眼鏡のブリッジを人差し指で押し、誰もが思っている事を代弁してくれたジェイドは性格はアレだが、真の勇者だとこの時ばかりはしみじみ思った。





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見た目カイリオ?なリオカイ中身入れ替わりネタな訳ですが、ちゃんと話になってるでしょうか…;;
リオンってひんぬーの方が好みそうだなぁ…と勝手に考えて、女の胸より〜をキャラ崩壊ワンフレーズにしました。
リオンファンの皆さん、すいませんっ;;

アテネ様へ、仕上がりにかなり時間がかかって待たせてしまいすいません;
気に入ってもらえたら何よりです。

※アテネ様のみお持ち帰りフリー

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