「着いたぞ」

「わぁ…！！」

　歓喜の声をあげるカイル。目の前に広がるのは、一面、薄ピンクの花畑。なぜいきなり、今日、花畑に来ることになったか。それは、別に僕がこいつに見せてやりた
かったわけではないが、そう、まあ、気分転換というやつだ。単なる気まぐれだ。たまには、ゆったりと、羽を伸ばす日があってもいいだろう。

「すごーい！綺麗だねリオン！」

　カイルは花を踏まないように近寄り、その周りで嬉しそうにぐるぐると回っている。まあ楽しそうで何よりと言えば何よりだが、無邪気にはしゃいでいるカイルを見
ていると、一つ疑問が浮かぶ。そんなに回って、目、回らないのか、と。
　僕がそのまま黙ってカイルを見ていると、カイルは不意にこちらを覗きこみ、不満げに、聞いてる？と、訊いてきた。僕が慌てて、ああ、と返事をすると、カイルは
にっこりと笑って、また回りだした。どうやら、もう機嫌は直ったらしい。単純だ。別に、そこがこいつの良いところだ、とか、思っていない。…思っていない。

「――――それにしても、ここまで見事に咲いているとは思わなかった」

　僕がそう言うと、カイルは回ることをやめ、こちらへ寄ってきた。僕の隣にしゃがみ込み、目の前の白い花を見つめた。

「これはなんて言うお花？」

「…ペチュニア」

「ふーん、ペチュニアかー」

　ペチュニア綺麗だねー、なんて、隣で笑う。花をただ見ているだけだというのに、本当に楽しそうで、こいつは本当に無邪気だ。
　…僕とは、まるで違う。きっと、ないものねだりなんだ。この感情は。

　さぁっと、心地よい風が吹く。カイルは心地よさそうな顔で、目を瞑っていた。僕も、目を瞑る。ああ、平和だ。日差しも、風も、この花畑も、永遠の物だったな
ら。我ながら、馬鹿馬鹿しいと思ったが、今は本気でそう感じた。
　しばらくそうしていると、カイルがぽつり、リオン、と僕の名前を呼んだ。

「どうした、カイル」

　カイルはこちらを見て、平和だね、と、言う。僕は、そうだな、と答え、花を見つめた。するとカイルはまた僕の名前を呼んだ。

「リオン」

「なんだ」

「今日、どうしてここに連れてきてくれたの？」

　それは素朴な疑問。そうだろうな、誰だって、流石のカイルだって、疑問に思うだろう。何せ、この僕が、突然花畑に行くなんて言い出したら、人はみな、僕の頭が
花畑になったのかと思うだろう。気分転換だ、と言われても、納得はできないだろう。別に、たいした理由ではないのだ。ただ…そう、この花の、

「花言葉…」

「え？何？リオン」

　―――――しまった。僕としたことが、声に出してしまった。

「花言葉？ペチュニアの？」

「……」

「花言葉なんなの？」

「自分で調べろ」

「ひどーい！教えてたっていいじゃん！」

　僕が冷たくあしらうと、カイルは両頬を膨らませ、ぎゃあぎゃあと喚く。仕方がないだろう。僕が言いたくないんだから。
　さあ、もう長居は不要だ。これ以上いたら、こいつに来た理由やらなんやら、色々突っ込まれる。そうなるととても面倒だ。僕は、そろそろ帰るぞ、とカイルの手を
取り歩き出したが、納得がいかないカイルは帰り際、ぶーぶー愚痴を言い続けていた。…豚か。

　今日は本当に、平和で、充実した一日だった。別に、お前がいたからとか、そういうわけじゃない。

　……だが、確かに、お前のその無邪気で、純粋な心に、救われている所も、多少、ほんの少しあることは認めてやる。…いきすぎな点はあるがな。
　まあ、だから、これからも僕の側においてやる。

　ん？待てカイル。何だ、その手に持っているのは。花言葉辞典？ペチュニアの花言葉を調べるって？………。
　おい、やっぱり調べるな！それを渡せ！



ペチュニアの花言葉：「あなたと一緒なら心が和らぐ」「心がなごむ」「心のやすらぎ」「変化に富む」

肉じゃが様の一言
(こんな感じです。
キャラの性格よく分かってないのに書いた結果がこれだよ！
まあ、受け取ってやってくださいな！)


花言葉とは…なんて俺得。
もう興奮しすぎて天に召されかけたよ。
しかしリオンよ、嫁に｢豚｣とは辛辣な…(笑)
誰かこちらのリオカイ文をアニメ化してください。