現パロ/病リオ→→→カイ



今日はとても変な日だったと、カイルは雨空を眺めながら思った。
授業で居眠りしなかったから先生に大袈裟に褒められたし、大好物の卵焼きが今日に限って入ってなくて落ち込んだ――そんな些細な事が胸にもやもやを残す。

そして、今も。

「――カイル」

彼はこんな日にもかかわらず傘も持たず雨に打たれて、いや、自分から雨を欲しているかの様に、微笑んでいた。

「……リオンさん?」

…胸がざわつく。
名前を呼んではいけなかったような気がして、カイルは一歩後退り距離を置けば、リオンは微笑を顔に貼りつけて一歩前に進んだ。
なんだ…これ。

「僕は考えた。お前と繋がる方法を」

静かに紡がれる言葉を聞いてはいけないと本能が告げているのに、足も顔でさえ動く事も出来なかったのはリオンの両手が、頬を挟んでいたからだ。

その瞳は何を見ているのか分からない程淀んでいて、カイルの身体は震え上がったがリオンはそれでも止めないで、言葉を続けた。

「現在(いま)の世界で僕等の関係が許されないなら、いっそ奇跡とやらに賭けてみよう…と」
「…な、なに…言ってるのかわかんないよ…」

お願い、この手を離してとようやく機能した手でリオンの腕を軽く叩けば、先程までの微笑が消えて瞳が細められ胸騒ぎは次第に煩くなる。

頭の中で警鐘が鳴る――逃げろと。

「っ、ぅわ?!」

こんな時に限って、靴紐に引っ掛かってしまった自分を恨めしく思う。
水溜まりに倒れた身体にリオンが馬乗りし、コートの中から取り出したハンカチが鼓動が不規則にさせた。

そっと、リオンはカイルの耳元で囁いた。

「お前の身体に傷をつけるのは嫌だからな……少々苦しいが、我慢してくれ」
「……、…!!…」

遠退いていく意識の中、最後に見たリオンの顔は酷く切なげでどこか満足そうな笑みだった。


――――――――――――
カイルを死なせないヤンデレっていうのが私の中のリオンなんですが……あれ??
なんかアレなのでカイル救済ルートを続きに。
↑の雰囲気をブチ壊しますのでヤンデレエンドがいいという方はスルーしてください。


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