リオマリ前提リオ←カイ


「おめでとうございます。リオンさん、マリアンさん」

フィリアがそう祝福の言葉をかければ、純白の美しい上品なドレスを着た黒髪の女性―マリアンが幸せそうにはにかんで、隣にいるタキシードを格好良く着こなしたリオンが微笑んで応える。

その顔は王国客員剣士の時に見せる鋭さでもなく、1人の大切な女性を生涯守り抜くと決意した男の顔だった。

マリアンが笑えばリオンが彼女のためにと、オーダーメイドしたペンダントのサファイアが動きに合わせて煌めくのを、2人を囲む人の群れの外でぼんやりと見つめて、カイルは顔が俯いてしまいそうになるのを堪えた。
絶対に泣くと分かっているから。

「リオンの奴、幸せそうだなぁ」

父親のスタンのそれに、オレは笑えていたか自信がないけれど必死に笑顔を作って、「そうだね」と応えた。

息子が抱いていたリオンへの淡い恋心など微塵も知らないスタンは、隣で2人を見て「お似合いの夫婦」だと笑って祝福するが、カイルの意識はどこかあやふやなものでスタンや皆の声が雑音としか認識されなかった。

「ほんと……ごめんなさい…」

カイルはリオンを見て呟いた。
結婚前夜カイルはリオンに告白した。答えがNOだと分かってはいたが、どうしても伝えたいと、伝えるなら今しかない――そう決意して気持ちを告げた時、気持ち悪いと言わずにただ頭を撫でて微笑んで「すまない」と言ってくれたから、尚更リオンの優しさが辛くなってカイルは逃げ出していた。

こんな時までリオンを困らせてしまう自分が、彼女に適う訳がないと。

だからもう、カイルも心を、リオンを好いていた気持ちを涙と一緒に吐き捨てて、こうして2人の前へ進んで満面の笑顔で祝福する。

「2人とも結婚おめでとう!!」

「…―ありがとう、カイル」

いつも屋敷でちょっとした相談にのってくれたりお菓子をもてなしてくれたマリアンと、剣の師であり世界を教えてくれたリオンに、ありったけの感謝をぶつけてカイルは2人に飛びついた。

もうあんな涙は見せないから、今だけ、その大好きな腕の中にいさせてください。


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たまにはリオマリとリアル(?)な苦いカイルの片想いを。


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