「リオンさんなら明日世界が終わったら、どうするの?」

あっ、もしもの話だからね!と付け加え答えを待つカイルに、何故そんな事を聞くのか気になり逆に問えば、なんとなくとカイルは笑った。

時々こうして眠る前や抱き合った後は、変な質問をしてくる事がしばしばで最近ならもしもの話をよくするようになった。
恋人になってもまだまだカイルの思考は分からない。
能天気な頭の中は知りたいとは思わないが、愛する者の全てを誰よりも知っておきたいと独占欲のようなものが沸々と生まれる。
いつからこんなに貪欲な人間になったものだか。

「オレはね、やっぱり世界が助かる方法を探すよ!」
「…頼もしい奴だな、流石は英雄見習いだ」

きっとカイルは世界が崩れゆく寸前まで足掻いて、足掻いて最後には本当に救うのかもしれない。その真っ直ぐな我が儘で。

「リオンさんは?」
「…僕は――」

うずうずと瞳を輝かせ次の言葉を待つカイルを見て、リオンは小さく笑って煌めく金髪を梳いた。

「最後までお前を抱きしめて眠りたい」

だからお前を世界救済になんて行かせない、ずっと最後まで僕の傍にいろと傲慢に吐けば、カイルは最初面食らったもののふわりと笑って僕の頬に触れた。

「たぶんオレは行っちゃうよ?」
「だろうな。僕を殴ってでも救済とやらに行きそうだ」

それがカイルなんだ、とリオンは鼻で笑い飛ばして囁いた。
“だったら僕は、お前を独りにはさせない”
―なんて言えば、カイルは嬉しそうに微笑んで胸の中へと顔を埋めた。

本当の本当に最後の時、この大きな体に抱きしめられて眠りたい。
カイルの腕が背中へとゆっくり回った。

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中島美嘉さんの明日世界が終わるならを聴くと、何故かリオンとカイルを思い出します。
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