鈍痛がする。
重りでも乗っているような気怠い身体に鞭を打ち、騎士団長としての業務を果たしていたリオンだったが、無理はするなと能天気に言われ渋々帰ったものの、痛くて心身ともにきつい。

「……はぁ…雨如きで…」

自分にはちょっとした持病のようなものが幼少からあった。

1つは船酔い、これはユグドラシルバトルでも障害になった厄介なもの。

それから2つ目は、雨が降ると憂鬱になったり頭痛やら関節痛に悩まされる。

己の体の弱さに嫌気が差してくる。
だが、それでも自分の部下は特に触れずにしっかり休んでください、と一言かけてくれるのは本心を吐くと有り難いとは思っている。
たまには部下達にも何かしてやるべきかもしれない。ほんのお礼として。

まぁ、でも今は休息が優先だ。
リオンは薄布団を被り枕に頭を預けた。低反発最高、と柄にもなく心中で呟いたのは内緒だ。

「リオンさ〜ん、入るよ〜?」

――僕はいつ寝れるんだ?
こっちはまだ入っていいとは了承してないのに、全く図々しい。

「……今日は来て欲しくなかったな…」
「ごめんなさい…でも気になったから来ちゃった」

あぁ、そういえば今日は仕事後に会う約束してたんだったと思い出して、それならスタンから早退したと聞いたカイルが来るのも当然だろう、ならば仕方ないのかもしれない。

「………早く、こっち…」

ポンポンとシーツを軽く叩き布団を剥ぐと、ほんのりと頬を赤くしつつもカイルは快くベッドに上がり、リオンは強引に抱き寄せた。
驚いて多少硬直はしたが、抱き締める腕に手を添えて彼の寝息を首筋に感じ、カイルは安堵した。

普段あまりリオンの寝息も聞けないからカイルはその新鮮さに笑みを浮かべながら瞳を閉じた。

だけど、やっぱり

明日は絶対晴れますように、と願った。




―――――――――――――
弱味を見せたくないけど傍にいて欲しいのが本心だけど、口で言えないから行動で示す不器用なリオン……カイルはそれに気づいてたらいいな。


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